33、代理で告白 ページ33
夜になってもまだ興奮冷めやらぬ状態の中、ベットに寝転がりながら、間違いなくココにある川島のボタンを眺めていた。
好きな人の制服の第二ボタン。
それは女の子にとって、特別を意味するもの。
自然ときゅん、と高鳴る胸。
茜に感謝しなきゃ…。
あの時、茜が大倉と盛り上がっててくれなかったら、きっと私は川島にボタンが欲しいなんて伝えられなかっただろう。
なのに、最後は茜を置き去りにして逃げ帰ってしまって……。
今更ながら申し訳なくなって、もう一度謝るために茜に電話をかけた。
『だからいいって。私も楽しかったから』
「茜……」
う〜〜、本当に優しい親友だ。
『それはそうと、結局Aたちはどうなったの?』
「どう、とは?」
『付き合うことになったの?
…え、A、告白したんだよね?』
え?
「してないよ。ボタンもらっただけだから」
『なにそれ!明日からもう会えないんだよ?このままでいいの?』
「え……」
言われて気付いた。
笑ってる場合じゃなかった。
全然良くない!!
「ど、どうしよう、茜!」
茜の答えは実に簡単なものだった。
『今から告白すればいいじゃん』
「え、どうやって…」
『ん〜、会いに行くには時間も遅いから…電話、とか?』
「で、電話!?」
ずっと隣の席に座っていた時でさえ、『うん』とか『あー…』しか話してもらえなかったのに、電話!?
しかも、私もだけど川島も確か、携帯電話は持っていない。
「……無理。絶対無理っ!!」
『大丈夫だって。かけてみなよ』
何度私が否定しても、『大丈夫だって』と言い張る茜の声を聞いていたら。
私、とんでもないことを思いついてしまった。
「じゃあ…茜が電話してくれない…?」
『……は!?なんであたしが?』
ごもっともな茜の意見が耳に届く。
「お願い!私の気持ちを伝えてくれるだけでいいから!!」
『バカなの?やだよ、そんなの自分で言いなよ』
「…だって怖いんだもん」
振られる前に、話してくれるかもわからないし…。
「お願い!神様、茜様!!」
頼み込まれた茜は、結局私のしつこさに根負けして
『……ったく。今回だけだからね』
私のとんでもない提案を、引き受けてくれた。
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時