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185、話すタイミング ページ38

式が終わり披露宴が始まるまで少し時間が空いたから、三人でホテルのラウンジでお茶することにした。


「さっきから何してんの?」

ブツブツ独り言のように呟いてたら、手にしていた便箋を涼に奪われた。


「スピーチの練習だよ。涼は大丈夫なの?そっちも拓哉くんの友人代表でしょう?」

「そ。わ〜、びっしり書いてるな。Aはマメだね〜」

「そんなことないよ。あ!涼はどんな話するの?涼の原稿見せて!」

「ないよそんなの。適当に話そうと思ってるから」


ウソ…。
原稿なしとか有り得ない。
私なら確実に頭の中が真っ白になって何も話せなくなっちゃうわ。


「…逞しいね、涼は」

「そ?ただ筆不精なだけだけど」

「なんか私だけ焦ってて情けなくなって来た」

「どうせ泣いてまともに話せなくなるんだから練習何てやめとけ。笑」


…ほんとそうかも。


笑いながらカップを持つ涼を見て、私も釣られるように紅茶をひと口飲んだ。


すると、黙って私たちのやり取りを見ていた美香が


「ねぇ…」

アイスコーヒーのストローから口を離した。


「さっきから思ってたんだけど。
なんでこんな暑いのに、二人とも紅茶なの?」

「え? あ、ホントだ」

いつもの癖で何気なく紅茶を注文していた私の横で、涼も紅茶を飲んでいた。


「……あぁ、そういやそうだな。
Aと遊ぶといつも紅茶ばっかりだったから癖で紅茶頼んじゃったわ」

「そうなんだぁ〜」って。

聞いたくせに流す様に返事をした美香が「お化粧直して来るね」と席を立った。



急にふたりきりになった私と涼。


「…ちょっと。紅茶ばっかり…って私のせいにしないでよ」

「え、だって本当のことだし」

「別にコーヒーでもコーラでも好きな物飲めばいいでしょ!」って。
小さく口を尖らせた私を笑った涼が



「……あの、さ」


私を見た。



「いつからアイツと付き合ってんの…?」


ドキン。
素直な胸が音を鳴らした。


涼の言う『アイツ』は昔から一人だけ。

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作品ジャンル:恋愛
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ユチコ(プロフ) - おにぎり侍さん» 最初から読んでくださりありがとうございます!中学生の出会いから始まった二人の関係が今後どのようになっていくのかも楽しんで貰えるように頑張りますね! (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 絵蓮(エレン)さん» コメントありがとうございます!最初から読んでくださってるなんて嬉しいです〜( ;∀;)もっとキュンキュンをお届けできるように頑張りますね! (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり侍(プロフ) - 1から読みました!中学から大人になるまで…最高です! (2018年8月19日 12時) (レス) id: 3b05885be4 (このIDを非表示/違反報告)
絵蓮(エレン)(プロフ) - 続編おめでとうございます!1の時からずっと見させてもらって、キュンキュンしてます!← 更新頑張って下さい! (2018年8月18日 22時) (レス) id: 75d02ce64f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年8月18日 18時

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