*:..。o○☆アイノカタチ4*:..。o○☆○o

178、お風呂上がりのビール ページ31

別に緊張する必要なんてないのよね。
自然なこと…そう！付き合ってるんだから自然の行為よ！って。
自分に言い聞かせながら、いつも以上に丁寧に身体を洗った。


でも、熱いお湯に浸かりながらやっぱり考えちゃう。

経験がないわけじゃない。
だけどあの時は若かったし初めてだったし、全てに置いて余裕がなかった。

今は、経験値こそ変化はないけど、知識だけはあの頃よりずっと備わった。

熱さでぼーっとしながら、お湯の中の自分の身体を覗いた。

川島、がっかりしたりしないかな…。





ちょっとのぼせた身体でフラフラとエレベーターに乗った。

部屋の前。ふーっと大きく深呼吸していると、ガチャ、と不意にドアが開いた。


「…あ。帰って来た。
遅いからどっかでのぼせて倒れてんのかと思った」

目の前には軽く笑う川島。

…遅いから心配してくれてたんだ。


「ごめん、あまりに気持ちいいからお風呂で寝てたよ。笑」

なんて。こんな嘘バレバレかな…。



川島に手を引かれ部屋に入ると、窓際のテーブルにビールが置かれた。


「栗原、飲める？めっちゃ冷えてるよ」

「嬉しい！ありがとう」

緊張と長風呂のせいで喉がカラカラだったから、そそくさと椅子に座った。



「じゃあ乾杯？笑」

向かいに座った川島と、ビールの缶をコツンと合わせる。

そして、グラスも使わずそのままグビグビ喉の奥に流し込んだ。


「…く〜〜〜〜っ」
「うま〜い！！」

ふたり同時に言った事で目を合わせて笑った。


「栗原、飲めるんだね」

「んー、ビールはそんなに飲めないけど」

「そうなの？ その飲みっぷりは酒豪の域だけど｣

「そんなわけないでしょ！笑｣


笑いながら川島と飲むビールは最強で。


アルコールの力を借りるのはズルいのかもしれないけど、赤くなる顔もちょっと変なイントネーションも

今なら全部誤魔化せる。

179、このまま寝るの？→←177、浴衣

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す