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173、五稜郭公園 ページ26

「待って、栗原」

後ろから川島の声が聞こえる。


待ちたくない。
待てるわけがない。

恥かしくて、合わせる顔がなくて。
足を速めた私の腕を、少し体温の低い手が掴んだ。


「ごめん。もう笑わないから」

振り返ると、もう笑っていない川島がいた。


「ごめん。怒らないで」

違う。怒ったんじゃないの。

そう伝えたいのに、川島にキスされそうになった夢を見てましたなんて口が裂けても言えそうになくて。
恥ずかしさで滲んで来た涙を見られたくないのもあって、ぎゅ…っと彼に抱き着いた。


そんな私を更に上から包んでくれる川島の腕。


…ヤダな、私。
なんだか私だけいつまでも子どもみたいだ…。







「ここだ」


私が落ち着くのを待ってまた二人で手を繋いで。
前を歩く観光客と一緒になって歩いていたら、五稜郭公園に着いた。


「……あ。ここ中学の修学旅行で来たよね!」

懐かしい景色に一気に気持ちが明るくなった。

「来たね。あん時大倉が木に登ろうとして担任にめっちゃ怒られてさ」

「そんな事あったっけ?」

「えっ、覚えてないの?」

驚く川島に頑張って記憶を辿る。


「んーーー、ダメだ。全然思い出せない」

「マジかよ」と少し残念そうな川島にちょっと申し訳なくなる。



なんで私、覚えてないんだ?
そもそも中学の修学旅行って……と考えて。

……あぁそうだ、って思い出した。




中学の修学旅行って私…好きな人に振られて落ち込んでいたんだった。


あの頃は私もまだ川島を意識すらしてなかった。
ただの『クラスメート』だったのに、今じゃ私の『彼氏』になってる。


不思議だな…。

人生って本当に何が起きるかわからない。

174、修学旅行の謎→←172、思い出し笑いとは?



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作品ジャンル:恋愛
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ユチコ(プロフ) - おにぎり侍さん» 最初から読んでくださりありがとうございます!中学生の出会いから始まった二人の関係が今後どのようになっていくのかも楽しんで貰えるように頑張りますね! (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 絵蓮(エレン)さん» コメントありがとうございます!最初から読んでくださってるなんて嬉しいです〜( ;∀;)もっとキュンキュンをお届けできるように頑張りますね! (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり侍(プロフ) - 1から読みました!中学から大人になるまで…最高です! (2018年8月19日 12時) (レス) id: 3b05885be4 (このIDを非表示/違反報告)
絵蓮(エレン)(プロフ) - 続編おめでとうございます!1の時からずっと見させてもらって、キュンキュンしてます!← 更新頑張って下さい! (2018年8月18日 22時) (レス) id: 75d02ce64f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年8月18日 18時

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