162、彼のお母さん ページ15
「こんばんは〜…」
他の入院患者さんに頭を下げながら足を踏み入れた病室。
そんな私を見ながら涼がポカンと口を開けていた。
「…なんでそんな顔してるの？」
「だってまた来てくれるとは思わなくて」
「また、は余計だけどね。何してたの？」」
ベッドの上に散らばっているノートや参考書に目をやった。
「勉強だよ、お勉強〜。退院したらすぐテストがあるから」
「へぇ〜」
「そっか、大学生だもんね〜」って一冊のノートをパラパラと捲る。
…なにこれ。難しくて全然わかんない。
「なんですぐ置くの。なんなら教えてくれてもいいんだけど」
「教えられるわけないじゃん。見たことない数式が並んでたよ！｣
「それは大袈裟」って笑う涼に勧められて、ベッド脇の丸い椅子に腰かけた。
「そうか〜、勉強してたのか〜。じゃあこれは余計だったかな」
言いながら袋から出した漫画本。
「え！もしかして買って来てくれたの？」
嬉しそうに私の手からそれを奪った涼が、プッと吹き出した。
「おいっ！なんだよこれ、少女漫画じゃん！」
「だって涼こういうの好きじゃん！」
「や、好きだけど！読むけど！」
「今絶賛連載中の人気漫画だよ」
「マジ？え、連載中？」
「うん、確か今は15巻くらいまで出てるかな」
「え、なのに5巻しか買ってくれなかったの？」
「当たり前でしょ。あとは元気になったら自分で買いなよ」
「うわ〜…、鬼だ」って顔を引きつらせながら笑う涼。
昨日、涼のお兄さんにあんなことを聞いた後だからちゃんと話せるか心配だったけど…
大丈夫だ。いつも通りの私たちだ、って安心してたら。
「あら？もしかして…」
聞こえて来た声。
振り向いた先に、涼のお母さんが立っていた。
「Aちゃん…？Aちゃんよね？」
「ご、ご無沙汰しております！！」
勢いよく頭を下げた私の肩をがしっと掴まれた。
「まぁ〜！しばらく見ないうちにすっかり綺麗になって〜！」
久々に見る涼のお母さんの笑顔。
綺麗なのはお母さんの方だ。
優しい笑顔は、昔とちっとも変っていなかった。
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ユチコ(プロフ) - おにぎり侍さん» 最初から読んでくださりありがとうございます！中学生の出会いから始まった二人の関係が今後どのようになっていくのかも楽しんで貰えるように頑張りますね！ (2018年8月19日 17時) (
レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 絵蓮(ｴﾚﾝ)さん» コメントありがとうございます！最初から読んでくださってるなんて嬉しいです〜( ;∀;)もっとキュンキュンをお届けできるように頑張りますね！ (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり侍(プロフ) - 1から読みました！中学から大人になるまで…最高です！ (2018年8月19日 12時) (レス) id: 3b05885be4 (このIDを非表示/違反報告)
絵蓮(ｴﾚﾝ)(プロフ) - 続編おめでとうございます！1の時からずっと見させてもらって、ｷｭﾝｷｭﾝしてます！← 更新頑張って下さい！ (2018年8月18日 22時) (レス) id: 75d02ce64f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユチコ | 作成日時：2018年8月18日 18時
