121、小さな後悔 ページ23
右側の長い階段を上って数メートルのところ。
スーツを着た男の子の集団の中に
少し茶色の髪の毛に小麦色の肌。
長い手足に、紺色のスーツ。
彼がいた。
「ちょっと待ってて。呼んでくるわ」
今にも川島を呼びに走り出しそうな大倉の腕を、慌てて引っ張った。
「いいよ、呼んでこなくても」
「なんで?会うの久しぶりだろ?」
「そうだけど……」
そうだけど。
今さらどんな顔で会えばいいのか、わからない。
黙ったまま何も言わずにいたら
「……ま、今日じゃなくてもいっか!
じゃ、栗原またな」
そう言い残してどこかへ行ってしまった。
大倉と別れた後も懐かしい級友たちとの再会は続き。
それはとても楽しかったはずなのに
どこで話していても。
誰と話していても。
私の目と耳は、川島の姿を追ってばかりいた。
時間が経つにつれ、少しずつ賑やかさを失っていく会場。
いつの間にか見えなくなった川島の姿に少し安堵して、私も茜や美香と一緒に家に帰った。
お母さんに帯をほどいてもらいながら、小さな後悔と格闘していた。
…やっぱり少しくらい話すべきだったかな。
いやいや。今さら話しかけられても川島だって困ったはず。
自分の行動を肯定したり、否定したり。
そんなことを繰り返していたら、不意に家の電話が鳴った。
「A、出てー!」
私の脱いだ着物をハンガーにかけながら、お母さんが言う。
「わかった〜」
その辺にあった服を着ながら
「はい、栗原です」
電話に出た私の耳に
『あ、…川島です』
思いがけない声が聞こえて来た。
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時