*:..。o○☆アイノカタチ3*:..。o○☆○o

120、大人になる ページ22

滞りなく式典が終わるとロビーには着物姿、スーツ姿の人たちが集まり、写真を撮ったり談笑したりと一気に賑やかになった。

私も例に漏れず久しぶりに会う地元の友人たちと写真を撮り合っていたら。
向こうから一人の男が手を振りながら近付いて来た。


「栗原じゃん！！久しぶり！」

その声に。その面影に。
眉を顰めながら窺った。


「…え。もしかして大倉…？」

「なんだよ失礼な奴だな！こっちはすぐわかったってのに！」


中学の卒業式の後、お遣い途中ばったり道で会った以来だった大倉が
あの頃からは想像も出来ないくらい、太っていた。


「ごめん、本気でわからなかったわ〜。元気だった？今何してるの？」

「俺？今古着屋の小さい店出してんだよ」


そう言って名刺を出して来た大倉。

「すご〜い。名刺とか持ってるんだぁ」

「そりゃあるよ。良かったらそのうち顔出してよ」

笑いながら、近くにいた私の高校の友達にも名刺を配る大倉。



みんなと会って、昔と全然変わってないと思った。
お化粧も覚えたしタバコを吸ってる人もいたけど、昔のままだと思った。

だけど、やっぱりそうじゃないみたい。

スーツの着こなし。
話し方。
慣れたようにタバコを持つ手。
名刺交換。

ひとつひとつが、学生の自分とは全然違うものに見えて

なんだか自分がみんなに置いて行かれてるような

そんな感覚に陥った。



「あ、そうだ」

突然大きな声を上げた大倉にドキッとした。



「そういえば、川島と高野には会った？さっきその辺にいたんだけどなぁ」

言いながらキョロキョロと辺りを探す大倉。


その名前に、素直に胸が反応した。



川島、やっぱり来てるんだ。
この会場のどこかに川島が、いる。


そう思っただけで、目が、耳が
川島の姿を探し始めた。


そして、私の目が一点で止まったのと同時に


「あ、いたいた！」

大倉が指をさした。

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