*:..。o○☆アイノカタチ3*:..。o○☆○o

101、なっちとの出会い ページ3

高校を卒業した私は、親元を離れ札幌でアパートを借りた。

憧れの一人暮らし。
住む前はカーテンは何色にしようとか、家具はどんな感じで配置しようとか、考えるだけで楽しいことがたくさんあって浮かれていたが、実際住んでみると誰もいない家は思ったよりも寂しくて、すぐにホームシックにかかった。


茜と美香も専門学校に通うために札幌に出てきていたが、私の住んでいるところからは地下鉄を乗り継がなければいけなかったし、高校生の時のように気軽に会うことが難しかった。


地元とは違う。大きなビルが立ち並ぶ札幌。


街中にはもちろん学校にも色んな人がいた。


ブランド品で身を固め、人目も気にせず彼氏の自慢話をしてる人。
際立つメイクと服で着飾っている人。

どの人もお洒落で大人っぽくて…。

私が田舎者だからなのかな。

『札幌』という土地に、上手に馴染むことが出来なかった。



彼女と出逢ったのはそんな時だった。

フランス語の講義を受けようと、席に着いた時に聞こえて来た声。


「隣に座ってもいい？」


顔を上げると、少し茶色いストレートの長い髪をなびかせた、やたらとスタイルの良い可愛い女の子が立っていた。



「あ、どうぞ」

言いながら少しばかり奥に詰めた私に


「ありがとう。確か、同じ英文科だよね？
私は横田菜月。よろしくね！」


そう言って彼女がにっこりと微笑んだ。

そのあまりに可愛い笑顔に何故だか私の頬が熱くなった。


「あ、栗原Aです」


これが、私と菜月、通称『なっち』との出会いだ。

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