*:..。o○☆アイノカタチ3*:..。o○☆○o

135、分かっているのに ページ37

『で？Aはどうするの？』

夜。電話口で茜が言った。


『涼くんのこと。うやむやにしたまま地元帰る気？』

「……そうじゃないけど」


煮え切らない返事をする私に、茜が続ける。


『正直さ〜、もうこんな人現れないと思うよ？
涼くんほどAのこと大切にしてくれる人いないと思う』

「……うん、そうだね」


茜の言いたい事はよくわかってる。


私だって本当は、茜と拓哉くんみたいに信頼し合って、愛し合って。
幸せな毎日を送りたい。



でも。

まだダメなんだ。

頭じゃなくて

心がまだ他の人を求めていない。



川島に戻りたいわけじゃない。

戻っちゃいけないってわかってる。

だけど、心のどこかにある彼への想いが

足枷のように私の足を引き留めるんだ。



なんでなんだろう。

川島と海に行ったあの日から連絡ひとつ来てないのに。

川島の心に私がいないってことなんて嫌ってほど思い知らされてるのに。



なのにどうして川島は

私の心から、出て行ってくれないのだろう。




「茜…。人を好きなるって難しいね…」



好きな人に好きと言われる。


愛してる人に愛される。




それってすごく



奇跡的なことだと思う。

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