検索窓
今日:5 hit、昨日:39 hit、合計:33,399 hit

65、初めて手を繋ぐ ページ15

それから二人でコーヒーカップに乗ったり、子ども騙しのお化け屋敷に入ったり。
二人でいても仲の良い友達みたいに自然に接してくれる涼くんのおかげで、空がオレンジ色に変わるまでふたりで遊園地を楽しんだ。


「送るよ」

私の返事を聞く前に歩き出した涼くんに

「…ありがとう」

私も素直に隣に並んだ。



ふたつの影が、並んでついてくる。
隣には、今日初めて会った涼くんがいる。

…すごいなぁ。人見知りの私でさえ緊張しない。
女の子の扱いに慣れているんだなぁ…。


「今日は楽しかったです。チケットも…ありがとうございました」

話しかけた私を彼が見た。

「うん。俺も楽しかった」

「あ、でも茜たちのデートの邪魔しちゃったかな」

笑いながらそう言うと、2秒ほど黙ったあと、彼がふふっと笑った。


「俺らもデートでしょ?」

「え?」

「…あれ?違う?これデートじゃないの?」


私の反応に、なぜか涼くんが戸惑ってるように見えた。


デート…?

男子とふたりで遊ぶことをデートと言うならば、これはデートに違いないのだけれど…。



「デート…だったんですかね?」

誤魔化して笑ってみせると、プラプラさせていた私の右手がふわっと包まれた。


「えっと…じゃあこれでデートってことで」


少し照れたように笑った涼くんが、私の手をきゅっと握り直した。


ぅわ…。
初めて男子と手を繋いでしまった……っ!



自分と違う体温が、ゆっくりと私の右手を温めていく。
その手をどうしたらいいのかもわからず、ただ黙って家までの道を歩いた。



「ここです!ありがとうございました」


深々と頭を下げる私を見ながら、彼がゆっくりとその手を離した。

「うん」

離れた右手に当たる風が冷たく感じる。



「あ、じゃあ…」

「Aちゃん」

涼くんが私を呼び止めた。



「Aちゃん。もし良かったら…俺と付き合ってくれない?」

「……」



優しくてカッコいい涼くん。
多分彼のことを嫌う人はいないだろう。

だけど……。


ううん、違う。
私は前に進むんだ。
立ち止まるのは止めたんだ。



「……はい。
よろしくお願いします」



これで、いいんだよね…?

66、風邪気味の彼→←64、別行動



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。