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60、久々の彼の声 ページ10

でも、終わらせるってどうすればいいんだろう。

部屋の中。同じ場所を何度もウロウロ歩き回る。


美香は高野に逢いに行ったと言った。

私も、川島の家に……行く?



「……無理だ。ハードルが高すぎる」

想像しただけで変な汗が出た。



だとしたら私に出来ることは

電話……?



あの日。

別れた日から、一度も話もしていない。


急に電話なんて、迷惑がられたりしないだろうか。
しつこい女だと、嫌がられたりしないだろうか。

不安な気持ちを煽るように、マイナスなことばかりが頭をよぎった。



でも…でも。

こうしていたって、なんにも始まらない。

大丈夫!顔見て話すわけじゃないんだから、いざとなったら誤魔化して切ってしまえばいい!



「……うぅ〜〜〜〜〜っ、かけちゃえ!!」


勢いしかなかった。
握りしめていた携帯を耳にあてた。

呼び出し音が鳴る。


1回

2回

3回




『……はい』

4回目のコールで聞こえて来たその声に

胸が、ドッキン!と音を立てた。



川島だ。

川島の声だ。




すぐに返事が出来なかった私の耳に



『……もしもし』

もう一度彼の声が聞こえてきた。



え、や、どうしよう…っ!


「あ、あのっ、栗原だけど……」

『あ……うん』


絞り出すような私の声に続いて、緊張しているような声が返ってくる。


「え、っと、元気だった!?」

『うん…』

「あの、ごめんね突然!今大丈夫?」

『あ、うん…』

「あ、今日も部活だったのっ?」

『いや。今日は休み…』

「そうなんだ!良かったね!」

『……うん』



……あぁ。
あああぁぁぁぁぁぁ。

ダメだ、緊張し過ぎて自分が何を話してるのか全然わからない。



「……」

『……』


無言になる電話。



どうしよう、何か話さなきゃ…っ

えっと、えっと……っ



「そう言えば、彼女出来たんだってっ!?」

『……え?』



……ぅわ。
うわうわうわうわっ!!

な、なんで!!

なんで一番聞きたくないことを口走るんだ、この口はっ!!

川島に聞こえないように、パンパンと自分の口を叩いた時


焦ったような川島の声が聞こえて来た。


『なんで知ってんの…っ!?』

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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