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68、完食 ページ18

私の家と作りが全然違う涼くんの家の台所で、唯一私が得意とする料理『焼きそば」を作り始める。

そんな私をダイニングに座った涼くんが、ニコニコしながらずっと見ていた。



「……涼くん。そんな見られたら緊張する」

「あ〜、ごめん」

謝ったくせに変わらずニコニコ見て来る涼くんを意識しながら、なんとか焼きそばを完成させた。



「おおーっ!うまそう!いただきます!」

作りたての焼きそばをひと口食べた涼くんが、大きく身体を仰け反らせた。


「うんめぇーっ!こんなうまい焼きそば初めて食べた!」

口いっぱい頬張る涼くんに思わず笑いが漏れる。


「それは言い過ぎ。付属のソースかけただけだから」

「いやいや、ホントだって!ほら、Aちゃんも食べてみ?」

「私はいいよ」

「本当に美味しいって」と言って、作った焼きそばを全部ぺろりと平らげてくれて。

いつもと変わらないはず。誰が作ったって変わりはないはずの焼きそばを残さず食べてくれた涼くんの優しさに

胸がほっこり温かくなった。




「あー食べた食べた!Aちゃん、ありがとね」

「いえいえ。こんなものしか作れなくてごめんね」


ホント。こんなことになるなら、もっとちゃんとお母さんに料理を習っておけば良かった。


……っていうか。
今思ったけど。

なんで私、焼きそばなんて作ったんだろう。
病人、と言えば『おかゆ』だったんじゃ…。


……っていうか。
もうすっかり元気そうにも見えるんですけど。

まぁとりあえず、元気になったんなら良かった。



「じゃあ私、そろそろ帰るね。あ、果物もご家族で食べてね」

立ち上がった私を見て、涼くんが立ち上がった。


「えっ、もう!? なんで!?」

「え、だってほら、涼くんもちゃんと寝てた方がいいし」

「もう大丈夫だし!」

「まだ声がかすれてるよ」


笑ってカバンを持った私の手を、涼くんが掴んだ。



「まだ帰んないで」

69、初キス→←67、焼きそば



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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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