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「あっ、おかえりー」
中に戻ると、再び賑やかな声が俺の周りを包んだ。
ノリは隅の方で一人ワインを飲んでいる。
「ただいま」
「ずいぶん早いけど、もっと夏木と話さなくても良かったん？」
「うん。向こうも違う友達のとこ行くんやって」
「本当に良かったん？」
ノリが俺の分のワインを手渡しながら、よく分からない質問をしてきた。
「良かったも何も…」
ほんとはなんとなく言いたいことは分かったが、はぐらかした。
「だって隆一、夏木と仲良かったやん」
「…」
「仲良いっていうか、お互い好きやったやろ」
ズバズバ切り込んでくる。
「えっ、そんな風に見えてたん？」
初耳だ。
「知らん人からしたら、ただの尖ってるデカい不良と明るくて真面目な委員長やけど、知ってる俺らクラスメイトからしたら、なんとなくそんな感じやったで」
『尖ってるデカい不良』という俺の呼び名に物申したい気持ちをグッと飲み込む。
「告白したら絶対上手いこといってたのに、隆一が意気地無しやから…」
意気地無し…か。
「夏木も待っとった思うで」
やっぱそうやったんかな…
「…俺、思うてんけどさ、夏木って雰囲気だいぶ変わったことない？」
突然だが、夏木と話しててなんとなく感じた疑問をぶつけてみた。
「そりゃ誰だって何十年も経ちゃかわるやろ」
自分が思ってたのとは違うあっさりとした返事が返ってきて、ちょっと落胆する。
「いや、なんていうか…俺の感覚やと外見だけの問題やないねん。どっちかっていうと内面やねん。感覚的に、本能的に感じたというか…」
「何が言いたいんか俺にはよう分かれへんけど…まぁ、でもよかったんちゃう？久しぶりに会って話できて」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
同窓会が終わって帰りの新幹線に揺られていると、スマホが震えた。夏木からLINEが入っていた。
夏木A今日は久しぶりに会って話できて嬉しかった
夏木Aこれからもよろしく^_^
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作者名：さら | 作成日時：2020年12月6日 21時
