余談（新しい方） (ページ31)

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「俺、このまま終わっちゃかんってずっと思ってたから。中学卒業と同時に疎遠になってそのままとか、絶対後悔するやつやん。隆一にも事あるごとに何度か言ってんけど、アイツ、いっつも有耶無耶にして話終わらせんねん」

初めて聞く話だった。
真島くんがこんなに気にかけてたというのも初耳やし…

「でもまさか、こんなに遅くなってまうなんてな…ごめんな」

ごめんと言いながら、本当に申し訳なさそうな表情をするもんだから、逆にこっちが申し訳なく思う。

「…なんで真島くんが謝るん」

「俺にも少なからず、責任はあるやんか」

「…」

「…」

「…お節介やな。考えようによっちゃあ、ええ迷惑や」

これは関西人の性とでもいうのか。はたまた私の悪い癖なのか。
変な沈黙に耐えられなかった。

「なっ、失礼やな。俺は夏木たちのことを思ってやったんやで。優しさとでも言うてくれ」

「あはははっ…でもそこが、真島くんのええとこなんやろうな」

「…なんやねん急に」

「濱家くんも私も恵まれてるな。そういう意味では」

「…」

「こうみえても感謝はしてるんやで。ありがと」

「…お待たせしましたー！」

ちょっと気恥ずかしくなったところでタイミングを見計らったかのように、由香がビールやら料理を持ってやって来た。
机上の円盤を避けて、色とりどりの料理が並ぶ。
由香は私にだけ見えるようにウインクしてから、厨房に慌ただしく帰っていった。
ウインクに含まれてる意味は、測りかねる。

乾杯もそこそこに、私たちは黙々と料理に手をつけ始めた。

「…俺、こういうのどうしてええか分からんねん」

魚をつついていた真島くんが、ふと独り言のボリュームで声を上げる。

「え？何が？」

「その…感謝されるとか」

あー。さっきの会話の続きか。

「こういうのは、別に改まって感謝するようなことではないと思うねんけど」

照れ臭そうに頭を掻いている様子に、笑みが溢れた。

「そんなことあれへんよ。なかなか出来へんことやし」

「そうなんかな…」

当の本人は、イマイチ引っかかっているようだった。
そのまま魚をつつくのに再び専念し始める。

その様子を見ながら、自分が何か真島くんに出来ることはないかと考えてみた。