I am…【1】

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間一髪、コマちゃんが床に着く手前で裕翔がその体を抱き抱えた。





裕「大丈夫！？」


コマ「………頭痛い」

裕「熱あるよこれ！体温計持ってきてー！」

コマ「…いい。すぐ分かるから」




そう言ってコマちゃんは腕に着けていた携帯を自分の額にかざした。



そしてホログラムとして表示されたのは『38.0』という数字。






薮「すげー…画期的…じゃなくて！寝てなよ、ほらベッドに戻って」

コマ「…んー」

裕「コマ？大丈夫？」




完全に体重を裕翔にかけている。


呼び掛けても曖昧な返事しか来なくて、
裕翔がコマちゃんを抱き上げた。





裕「うわ軽っ」




ベッドに戻されたコマちゃん。

俺もちゃっかり寝室についていったけど…発作の影響で熱出たのかな。









伊「大丈夫？」

コマ「…こういう時はカプセルに入って治療するんだ」

伊「カプセル？」

コマ「全自動システムが備わっているから患者の状態を察知して空調管理から治療まで全てやってくれる。
例外もあるけど。
カプセルに入っている間は眠剤が投与されて眠っている間に治療を終える事が出来るんだよね」

伊「じゃあそれが無い今、結構辛い？」

コマ「………つらい」





あらら。可哀想に。




文明発達のあるあるだよね。

便利な物が増えれば増える程、苦労していた事を忘れてしまう。


今なんて炊飯器に食材を入れただけで肉じゃがとかカレーとかが出来ちゃうんだから、手間暇かけるやり方なんて覚えてねーもん俺。









コマ「……伊野尾ちゃん」

伊「ん？」

コマ「頭撫でて？」

伊「え！？」

コマ「…ギークはよくやってくれたから」





って言っても俺ギークじゃないんですけど…。





同じ顔だけど山田とは性格が異なるコマちゃん。




コマちゃんの頭を撫でると効果があるのか、
表情が和らいだ。





山田と俺は関わりが浅い方だったし。


いくら人が違うとはいえ、山田と同じ顔の奴の頭を撫でてる俺。
不仲説信じてる奴が見たら一大事だぞコレ。






裕「……………かわいい」

伊「お前山田の顔なら何でも可愛いって言うじゃん」

裕「いやもう仕草諸々かわいい！やまも可愛いしコマも可愛い！」

コマ「………うるさい」

裕「ごめんね！」





裕翔をひと睨みしたコマちゃんはすぐに目を閉じた。




早く元気になれよ、なんて柄にもなく祈りながら
コマちゃんの額に張り付いた髪の毛を梳かした。

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