I am…【1】

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コマ「おい大丈夫…じゃないよな」





そいつの周りは濡れていて。


そいつは自身の腹を抑えているが、そこからどんどんと溢れ出てきている。





血。





この色と匂いは血で間違いないだろう。








「…ん゛……はぁっ……、」





コマ「おい」


「………だ、れ………」





そいつの目が俺を捉えた。


そして驚いたように目を見開く。






「……俺…？」

コマ「そっくりだよね。まあそれは良いとして。
早く医者に見せないと死ぬよ？」

「………いや、もうこれ…死ぬでしょ………」

コマ「誰にやられた？暗殺されるような事でもしでかしたの？」

「………暗殺って…はぁっ……。通り魔、だよ……最悪…」





通り魔？……それは暗殺じゃないのか？


いやまあその話はどうでもいい。




彼が言ったようにこれはもう死ぬ。



というより、今生きているのが不思議なくらいだ。
血を流しすぎている。





コレを治せるくらいの技術ははたして
“この時代”にあるのか…。



確実に治せるやつは1人知っているが。





「……はっ、ふぅ……俺、ね……アイドル、やってんだ…」

コマ「アイドル？」

「知ら、ない？…不思議だね、その格好も……」

コマ「………時代が違うからね」

「…うっ、ぅぇっ…ゴホッ………おれ、山田涼介…ってんだ。…あなたは…？」


コマ「………………………山田涼介。
コマンダーと呼ばれている」


「っ！？……はは…、名前も一緒で……役名も、一緒か…。
何これ、夢？」

コマ「夢じゃないのはアンタが今感じている痛みで証明出来てんじゃないの？」






咽せながら口から血を吐く”山田涼介“。






「…ゲホッゴホッ……なあ…お願い、あんだけど……」


コマ「…おい、離せ」





手を掴まれた。


どこからそんな力が沸いているのか。


もう体は限界なはずなのに、何で意識を保っていられるんだ？






「メンバーに……俺の、仲間に……俺の代わりに、別れを言ってきて欲しい…」

コマ「…はあ？」

「お願い………後悔は、色々あるし…やり残したことも、たくさんあるけど………っ、メンバーに…何も伝えられずに死ぬのは、1番いやだっ」

コマ「そのメンバーとやらに、お前は何を伝えたいの？」


「…あり、がとう…って。それだけで、いい……」


コマ「…分かったから。それ以上喋るな。
体力が失われるだけだよ」





目を合わせてそう返事をすれば、安堵したのか口角を上げた。

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