師 ページ6
私は走り続ける。私が?人を殺す?それも元彼を?出来ない。そんなこと出来っこない。
私はナイフをギュッと握り締める。
ん?ナイフ?あっ!しまった!
慌ててナイフを持ってきてしまった!ナイフを持って走ってるなんて完全に犯罪者じゃないか!銃刀法違反……。めまいが……。
「へっくしゅん!」
寒さにくしゃみが出る。ずっと雨に濡れていたのだから、当たり前だ。
「鈴木さん?」
顔を上げる。すると。
「丸山先生!どうしてここに?」
私は慌ててナイフを後ろに隠す。声をかけてきたのは、私のクラスの担任、丸山先生だった。
「丁度今帰っていた所だよ。鈴木さんこそ、こんな時間に、そんなびしょ濡れでどうしたんだい?家出でもしたかい?」
私は黙ってうつむいた。
先生は少し考え込むと、優しく笑った。
「とりあえず、君の家まで送るよ」
「……ありがとうございます」
先生の黒い傘に入れてもらって学校へ向かう途中、ちょっとした疑問が生まれた。
先生の家は学校から遠いと言っていたが、ここは駅とは反対方面だ。どうして先生はここにいたんだろう。
……まあいいか。考えてもしょうがない。
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作者名:ユラリオ | 作成日時:2019年8月21日 10時