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私は走り続ける。私が?人を殺す?それも元彼を?出来ない。そんなこと出来っこない。

 私はナイフをギュッと握り締める。

 ん?ナイフ?あっ!しまった!

 慌ててナイフを持ってきてしまった!ナイフを持って走ってるなんて完全に犯罪者じゃないか!銃刀法違反……。めまいが……。

「へっくしゅん!」

 寒さにくしゃみが出る。ずっと雨に濡れていたのだから、当たり前だ。

「鈴木さん?」

 顔を上げる。すると。

「丸山先生!どうしてここに?」

 私は慌ててナイフを後ろに隠す。声をかけてきたのは、私のクラスの担任、丸山先生だった。

「丁度今帰っていた所だよ。鈴木さんこそ、こんな時間に、そんなびしょ濡れでどうしたんだい?家出でもしたかい?」

 私は黙ってうつむいた。

 先生は少し考え込むと、優しく笑った。

「とりあえず、君の家まで送るよ」
「……ありがとうございます」

 先生の黒い傘に入れてもらって学校へ向かう途中、ちょっとした疑問が生まれた。

 先生の家は学校から遠いと言っていたが、ここは駅とは反対方面だ。どうして先生はここにいたんだろう。

 ……まあいいか。考えてもしょうがない。

鴉→←誘



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作者名:ユラリオ | 作成日時:2019年8月21日 10時

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