涙の君�� ページ21
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「「グウ」」
1時間もせずにAと香山さんはつぶれてしまった。2人ともスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。
「さぁてと、お開きにしますか」
「おい待て。もしかしてコイツらを送るために俺を呼んだ訳じゃないだろうな」
「ザッツライト！半分正解！」
山田は慣れた手つきでAと香山さんの荷物を手に取る。
「お前も、気になるだろうと思って」
「何が」
「Aの恋愛事情！前に香山先輩から、Aに彼氏がいるって言った時、相澤残念そうな顔してたって聞いたからさ！」
「ダチだから協力してやんよ」と訳もわからないことを言っている。しかもいつもみたいに冗談半分で言ってるように見えないのが怖い。
「待て、俺がいつAのこと好きだなんて言った？」
「好きじゃないのか？」
「大切ではあるが、好きではない」
本当にそう思っている。Aの幸せを願っているだけだ。
「ふーん、じゃあこっちで」
そういうと山田は香山さんの鞄を突き出してきた。
「おい、それとこれは違う。俺にめんどくさい方押し付けやがって」
Aは机で静かにスヤスヤと寝ているのに対し、香山さんはブツブツと何かを呟きながらグデグデの状態だ。
山田はため息をつくと「どうしようもねぇな」と言った
「お前、家〇〇区だろ？Aと真逆だから香山さんの方に乗せてもらいな」
そういうことじゃねえよと出かかった言葉を飲み込む。
いまは山田の方が合理的だ。
山田は慣れた手つきでAをお姫様抱っこすると、会計はこっちでしておいてやるよと言い、俺と香山さんを残してあっという間に出ていってしまった。
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作者名：ナツ | 作成日時：2024年3月24日 12時
