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きっと幸せな時間になる筈 ページ10
ぐすぐす。
誰かが泣いている。
真っ暗で何も見えない。
ぐすぐす。
鼻をすする音が聞こえる。
音を頼りに暗闇を進む。
ぐすん。
声が近い。
少し先にぼやけた明かりが見える。
そっと足を運ぶ。
そこには小さなウサギの人形が座っていた。
自我を持ったウサギの人形。
ぽろぽろと涙を流して目を擦る。
ぐすぐす。
ウサギは喋らない。
ただひたすら涙を流し続ける。
近づいて抱き上げた。
大丈夫、だいじょうぶ。
さみしくないよ。
わたしがいるよ。
ぐすぐす。
ウサギは泣き止まない。
優しく抱き締めた。
ウサギはそっと抱き締め返した。
さみしいなら、わたしがいるよ。
ずっと。ずっとそばにいるよ。
だからもうなかないで。
ウサギはこくり、頷いた。
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作者名：くろす | 作成日時：2023年8月31日 16時
