検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:162 hit

ページ9

『それで_____あれ?』

話に夢中になっていて、彼が消えた事に気付かなかった。

そっと視線を下に遣る。

減った様子のない紅茶が揺れた。

『今日も飲んでくれなかったね。』

こつ、とカップを突く。

勿論カップは喋り返して来ることはなくて、ただ紅茶を揺らす。

こんなに美味しいのにね。

最初の頃に比べたら紅茶を入れるのだって凄く上手くなった。

あの時は苦くて____あれ。

最初っていつのこと?

ううん、私はずっとここに住んでる。

最初も何もなく、気付いたら此処に居た。

いつだって紅茶は美味しかった。

失敗した紅茶なんて作ったこと無いはず。

可笑しいなあ。

彼が手を付けなかったカップを持って口付ける。

傾ければ冷めた紅茶が口に入った。

冷めていたってこんなに美味しいのに、彼はどうして飲まないのだろう。

いつまで経っても分からない疑問を抱えて紅茶を飲み干した。

きっと幸せな時間になる筈→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 6.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くろす | 作成日時:2023年8月31日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。