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『それで_____あれ?』
話に夢中になっていて、彼が消えた事に気付かなかった。
そっと視線を下に遣る。
減った様子のない紅茶が揺れた。
『今日も飲んでくれなかったね。』
こつ、とカップを突く。
勿論カップは喋り返して来ることはなくて、ただ紅茶を揺らす。
こんなに美味しいのにね。
最初の頃に比べたら紅茶を入れるのだって凄く上手くなった。
あの時は苦くて____あれ。
最初っていつのこと?
ううん、私はずっとここに住んでる。
最初も何もなく、気付いたら此処に居た。
いつだって紅茶は美味しかった。
失敗した紅茶なんて作ったこと無いはず。
可笑しいなあ。
彼が手を付けなかったカップを持って口付ける。
傾ければ冷めた紅茶が口に入った。
冷めていたってこんなに美味しいのに、彼はどうして飲まないのだろう。
いつまで経っても分からない疑問を抱えて紅茶を飲み干した。
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作者名:くろす | 作成日時:2023年8月31日 16時