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海の中。
目を開ければ綺麗な珊瑚礁。
その光景に思わず声が出る。
ごぼごぼ、と言葉にならない音と共に空気が出て行く。
いけないいけない。
海の中だと言う事を忘れていた。
1度海面に顔を出す。
「うふふ。綺麗だったかい?」
『!ふふ、はい!とっても!』
何時もの外套を羽織った彼が私を見て嬉しそうに笑う。
『一緒に見ますか?』
「そうしたいのはやまやまなのだけれど、生憎着替えを持ってきていないからね。」
残念そうに肩を竦める彼。
着替え位私が出してあげるのにな。
然し彼は遠慮した。
一緒に海に入りたかったなあ。
なんて思いながらもう一度潜る。
そこにはやっぱり綺麗な珊瑚礁。
中々入る事の無い海をしっかり堪能してから陸に上がる。
「おかえり。楽しかったかい?」
ふわり笑った彼。
笑顔で頷けば自分の事の様に喜んでくれた。
『今度は一緒に遊びましょうね!』
「そうだねぇ。」
微笑んだ彼。
どんな所なら一緒に楽しめるかなあ。
ウキウキしながらプランを立てる。
そう云えば。
私、誰かと海に遊びに行った事があるような……。
少し考えてみても分からない。
諦めて思考を角に追い遣った。
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作者名:くろす | 作成日時:2023年8月31日 16時