【アイナナ】紡の兄は小鳥遊事務所に就職します (ページ9)

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八乙女楽３ページ9

～貴方side～

「俺の妹です」

そう答えると八乙女さんは、目を丸くして固まった。

そんなに驚くことだろうか？
紡とは結構似てる所あると思うんだけどな～。

隣でフリーズする八乙女さんを無視し、俺は珈琲を飲みながら時間を確認する。
まだ撮影終わるまで時間あるな。
どうやって時間を潰そう････
仕方ないから、スマホゲームでもしとくか。

珈琲を目の前の机に置き、ゲームを始めようとすると、隣から伸びてきた手が俺のスマホを回収していく。

「え？！！！」

「ちょっと借りるぞ」

八乙女楽が真剣な面持ちで何かを打ち始めた。

なんだ。なんだ？！
まさか！馴れ馴れしく方を組んだから金を請求しようとでも言うのか！！

暫く待っていると、満足気に八乙女さんがスマホを渡してくる。

「急にどうしたんですか？」

「俺の連絡先。入れといたから」

「え･･･？」

確認すると連絡先一覧に『八乙女楽』の文字がある。
しかも、ラビチャにも既に登録されてある。

「うわぁ、マジか」

「お前年齢は？」

「21です」

「俺より下か。まぁ、今日助かったし今度一杯奢ってやるよ」

まさかの超人気アイドルからのお誘い。
これは、可愛い女優やモデルとの出会いも････

「ホントですか？！スゲー嬉しいです！」

体を前のめりにしながら喜びを表すと、八乙女さんは俺の頭を優しく撫でた。

ん････？
なんだ。なんだ。

「あの･････」

「なんだよ」

「頭･････」

「あーいや。何か可愛いなって思ってさ。嫌だったか？」

可愛いだって？
高身長で爽やかボーイのこの俺が可愛いだって？
やっぱり八乙女楽は違うって言うのか！
レベルが！一般人の俺の様な奴は、可愛いというレベルになってしまうのか！

心の中で落ち込みながら俺は「嫌ではないです」と言って大人しく座り直した。

傷ついた。
俺の心は傷ついたぞ。
悪気のない言葉ほど心に刺さるものはない。

暫くすると、八乙女さんは「それじゃ、また連絡する」と言って立ち上がり帰って行った。

俺はというと、追加された『八乙女楽』の連絡先を見つめながら、小さく溜息をついた。

そして、

「家帰ったら牛乳飲もう･････」

そう心に決めて、IDOLiSH7達が撮影しているスタジオへと戻った。