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13 song. ページ14

「お母さんが亡くなってからはずっと一人でしたので……」

 言い終えてから、はっとする。
 万理に伝えた彼女の生い立ちは、後日IDLiSH7も話をしている。だからこそ、こんなこと言ったら余計に気を遣わせてしまうことなんて、わかりきっていたのに。

「なので! いまお隣さんに皆さんがいてくださることがとても嬉しいんです! こうして並んで帰れることも、涙が出そうなくらい嬉しいです」

 本心であることをわかってもらえるよう、心春は一生懸命に伝える。皆はそれぞれ優しい表情を向けて「わかってるよ」と言ってくれるように頷いた。

「じゃあこれからは時間が合えば一緒に帰ろうな!」
「七瀬さんだけでは心配なので、私も時間が合えばお付き合いしますよ」
「俺も! こはるんと一緒に帰る!」
「ありがとうございます……!」

 本当に、優しい人たちだなあ。並んで笑顔を向け合う皆をみて、心春はそう思った。

「そういえば、ご飯はどうしてるんだ?」
「しっかり食べてます!」
「へえ〜ハルって料理できるんだなあ」

 なんか意外だ、と笑う大和の言葉に、きょとんとする。

「自慢ではありませんが、料理は壊滅的にできないんです」
「じゃあ、普段は何を食べているの?」

 壮五が不思議そうに聞く。心春は自信満々ににっこりと笑った。

「わたし、誰よりもカップラーメンを美味しく作ることができますので!」

 えへへ。と自慢げに宣言すると、場の空気が凍ったように感じた。
 あれ? なぜでしょう。小首を傾げる心春。

「まさか……いままでずっと、カップラーメンで過ごしてたのか……?」
「兄さん、そんなわけがありません……きっと聞き間違いです」
「こはるん……それはやべえよ、俺でもわかる」
「コハルの食生活デンジャラスすぎます……」
「あ、あの、コンビニのお弁当も食べていたので、栄養はしっかり取ってましたよ?」

 さらに場の気温が下がったのは、おそらく気のせいなんかじゃない。

「ありえねえ!!!!!!」
「うひゃ!!」

 突然絶叫する三月に驚いて、情けない声が心春の喉から出てきた。

「まだ高校生の育ちざかりだろうが!! それなのにそんな生活……俺はぜってえ見過ごせねえ!!」
「三月、お母さんみたい」
「でも確かに、これからの心春ちゃんの健康が心配だよ」
「そーちゃんも、オカンみてえ」

 ぽかん、とする心春を他所に、三月はスマホを取り出して一本の電話をかけ始めた。

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作者名:冬眞 | 作成日時:2021年7月3日 13時

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