【INI】POP STAR【Hiromu.T】 (ページ9)

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「いや俺は大夢と約束があって、でもなんで2人が?」

「それより聞いてよ、この2人付き合ってるって！」

「え、ま？」

楓はわたしの良き友人で、いつも臆病なわたしを引っ張ってくれるが、悪いところもある。
人の話を聞かなさすぎる。

「だから楓、違くて」

「へぇー、めでたいじゃん。いいね、お似合いだね」

どうやら今日の刺客は、私に優しくないようだ。
キョースケさんにまで、勘違いされたらたまったもんじゃない。
そもそも、私この人とろくに喋るはおろか、連絡先も持ってすらないんだぞ？

しかし、キョースケさんは、真面目に勘違いしてそうな楓とは違ってどこかニヤニヤしているし、何か企んでそうだし。
え、もしや今日命日だったりします？

「そういえば、今日2人…、髙塚さんとキョースケさんは何でここに?」

とりあえず、話を逸さねば、と試みる。
そうだ、この場を切り抜けて、楓とどこかに出かける。
それで、あとで楓に訳を話そう。
そうしたら楓がキョースケさんに弁明してくれるはずだ。そうしよう、そうしよう。

「あー、大夢と買い物行く予定だったんだけどさぁ…ごめん！俺、急用思い出したから帰るわ！」

…いや、それは、嘘じゃん?

キョースケさんはそう言うと、軽く楓を小突いて、お前空気読めよと言わんばかりに頷く。
いや、違うんですって。
そっちに気を遣われたら困るんですって。

「あー！私も洗濯物取り込み忘れたから帰るわー！ごめんねA！」

「いや、楓違くて！」

「お幸せにぃー！」

そう言うと、楓は足早にキョースケさんと去っていく。

え、待って、私これから髙塚さんと2人?
…無理無理無理無理、この間あんな会話が弾まなかった人と喋れるわけがない。
ここは、私も適当に用事言って帰るべきだよね?

お礼は後日何か渡すことにするとして、私もいち早くこの場から退散しよう。そうしよう。

「助けていただき、ありがとうございました。」

「あ、いえ。」

「あの、私も＿＿＿＿＿＿＿。」

「広瀬さん。」

私の話を遮るように、髙塚さんは私の苗字を呼ぶと、本日初めて私と目を合わせた。

「はい、なんでしょう。」

「この後、お茶しませんか？」

命の恩人と言った、先ほどの発言を撤回します。
この人は狂人です。