【INI】POP STAR【Hiromu.T】 (ページ3)

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「A最近どーよ？慣れた?学校」

「…んまぁ、ぼちぼち？意外と楽しいよ…うん」

「それは嘘ついてる顔だな。ったく、楓様の前でくらい素直になれよな、もう。」

4月末。ゴールデンウィーク目前。
今日も今日とて、大学へと通い、楓と昼食をとっている。

大学には慣れた。楓以外の友達も出来た。
慌ただしいのも落ち着きつつあって、なんだかんだ楽しい。

ただ、勉強は二の次だぜ！というかのような、あの明るい雰囲気は、まだ私には眩しすぎる。

「嘘じゃないよ、楓もいるし、友達も出来たし。思ってた以上に楽しいよ」

「…そーお？」

「うん」

楓はというと、入学式終わってすぐに本領発揮！と言わんばかりに髪の毛をハイトーンに染めた。
見事に東京の大学生になっている。

「でもさぁ…うーん」

何か言いたげに、ミルクティー色の髪の毛を指でくるくるさせると、楓は唇を尖らせた。
昔から何か言い淀むと、髪の毛をいじる癖がある。

「なぁに?なんか言いたげじゃん。言いなよ」

私がそう言うと、楓は子犬のように私を上目遣いで見つめながら、また髪の毛をいじり始めた。

「いやさぁ、Aもさ、そろそろ新しい出会いとかさぁ、欲しくない？って思ってさぁ…ね？そうでしょ？ね？」

「…出会いはこの1ヶ月で十分味わったし、君は何が言いたいんだい？」

「だからさぁ…そのさぁ…。と、とりあえず、今日の夜付き合ってよ！ね！私たち友達じゃん?一緒に友達増やそ！ね！」

何かやましいことがある時には右下を見つめる。楓の癖だ。

「まぁ、楓の頼みなら…」

そう言うと、楓は小動物のように目を輝かせて喜んだ。

「ねぇ、友達作りって、これが？」

「まぁまぁ、Aさんや、私の頼みを受け止めてくれやい…」

「はぁ…」

昼言われた通り、楓に付き合ってたどり着いたのはとあるレストラン。
入っていくと、私たち以外の女の子3人と、男の子5人…あれだ、所謂合コンってやつだ。私知ってる。

言われた通りに席につき、愛想笑いを浮かべた時に思い出す。
そういえば楓、大学きてからずーっと彼氏欲しいって言ってたわ。

「ここにいるの全員同じ大学の人だから！仲良くなれたら良いじゃん！ね！」

「まぁ、うん。そう…ね？」

なるほど、これはつまり、私は合コンの数合わせってわけね。理解。

まぁ楓には受験の愚痴にだいぶ付き合ってもらったし、ここは顔を立ててあげるとするか。