【INI】POP STAR【Hiromu.T】 (ページ18)

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雨の降りしきる梅雨の季節。
今年は特に梅雨がひどいらしく、毎日のようにスコールのような雨が降っては、私の気分は下がる一方。

講義終わりのおやつ時、私と楓はおしゃれなカフェでパンケーキを食べている。
柄じゃないと断ろうとしたけど、勉強もバイトも頑張ってるからご褒美タイムにしよう!と押され負けた。
私は押しに弱いらしい。

「わっ、す、すごっ！」

私が見たこともないパンケーキの可愛さに驚いている間、楓はすでにスマホを取り出して、アングルを調整しながら写真を撮っていた。

「可愛いー！！ほらほら、Aも写真撮りなよー」

「お、おう」

楓みたいな、映える？撮り方は分からないけど、とりあえず写真を撮ってみる。
イチゴにホイップクリーム、アクセントにミントの葉が乗った可愛らしいふわふわのパンケーキは、私みたいな写真初心者が撮っても可愛らしい仕上がりになる。

「可愛い…」

そう言いながら、伝票を眺め直す。

…え、パンケーキと紅茶でこの値段?桁違くない?

「やっぱり値段が可愛くない…」

「いい加減こっちの物価慣れなよ」

同郷のはずなのに、なぜこんなにも楓は東京に染まっているのか、私はその真実を知るべくアマゾンの奥地へといつか向かおうと固く誓った。

それはそうと、パンケーキは死ぬほど美味しくて、まぁあの値段を払う価値もあるのだろうなと思った。
そもそもそうじゃなきゃ経営成り立ってないわけだし。

「んで、高塚くんとはどうなの？A」

1ヶ月前ほどに、高塚さんに仮交際を持ちかけられた私。
一応、関係性が変わったのかもしれないが、そこまで大差もなく。
必要以上に連絡を取ることもないし、恋人らしい進展は一切ない。

一度だけ、藤牧さんといる髙塚さんに出会し、彼女代行業務を行った。
髙塚さんの交際報告に付き合って、それっぽーく話を合わせただけだけど、私としてはちゃんと業務を果たせたので満足である。
…藤牧さんが若干の疑心暗鬼顔だったのが、懸念点だけど。

「んー、まぁぼちぼち？」

とはいえ、仮交際だとバレてしまえば規約違反になるので、楓の前では誤魔化し続けなければならない。
すまんな楓、私は墓場までこの話を持っていくって決めたんだ。

「ふーん、あんま会ってるところ見たことないけど」

「え、そ、そんなことないよ、髙塚さん忙しそうだし」

「へぇー」