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Side R
ほら、結局こんなことしか言えなくて、
Aは不思議そうな顔してるし。
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｢よし、準備完了！｣
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いつもより色の濃いリップを塗って、
大人っぽい雰囲気になったA。
なんでそんな気合い入れてオシャレすんの？
女の子ってこういうもんなの？
それとも共演者の中に気になってるやつでもいたの？
あの時の彼氏役誰だったっけ…、
あ、大志だ、中川大志。
…あのヤロー…。
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俺とご飯行く時とかそんなオシャレしてなくない？
家とかすっぴんに部屋着のパーカーじゃん。
…いやそれもすげえ可愛いけどさ。
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｢…あれ、もしかしてご飯一緒食べようとしてた？｣
流星｢あ、…うん。｣
｢ごめん…！先言っとけば良かったね。｣
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ごめんね〜、と言いながら俺の頭を撫でてくるA。
この、犬を可愛がるみたいな態度がどうも気に食わなくて、
彼女の手をグイッと引っ張って自分の方へ引き寄せる。
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｢えっ…、な…何｣
流星｢…今度、お寿司行くって言ったじゃん？｣
｢…あ…、うん、｣
流星｢…その時は、今日よりもっとオシャレしてきてね。｣
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こつん、とおでこがくっつくくらいの近距離に追い込んでも、
Aは少し戸惑うだけなのを見ていると、
本当に意識されてないんだなって思い知る。
.
｢…わかっ…た、｣
流星｢…お酒飲みすぎんなよ。｣
｢…ん。｣
.
行って欲しくない気持ちに蓋をして、
Aの頭にﾎﾟﾝっと手を置いて送り出す。
またね、って言って遠ざかるAの背中を見ていたら、
…やっぱ1回抱きしめとけば良かったなって後悔した。
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年4月15日 22時
