□君には秘密 ページ15
***
Side R
｢でね？神木くんとオセロやったんだけど負けちゃったの。
しかも圧倒的大差。私あんなにオセロ弱かったかな〜…？｣
流星｢…んー、神木さんが強かったんじゃない？｣
｢…やっぱそう思う？
だって私、流星には割と勝つもんね？｣
流星｢ん？あー…。そうだね。｣
｢じゃあやっぱり神木君が天才だったんだな〜。｣
流星｢ふふ、笑｣
.
.
Aはオセロが弱い。壊滅的に。
いや…、オセロに限らず、
そういう戦略を練る系のゲーム全般が苦手だ。
しかし本人に苦手意識はない。
なぜなら俺には勝てるから。
.
.
事の始まりは子供時代まで遡る。
.
ゲームのセンスがないAはいっつも俺に負けていた。
勝つまでやるの…！！
と半泣きで何度も挑戦してくるもんだから、
わざと負けてやったのが始まりだった。
.
本当は勝負事でわざと力を抜くなんて
絶対にやらないタチだけど、
あまりにしつこいし、
あまりに終わらないから仕方なく。
.
…でもその時の、
俺に初めて勝てたAの顔があまりにも嬉しそうで、
それが可愛くて可愛くて。
.
そこから、Aとゲームする時だけは
ちょっと手を抜くのが癖になっているという馬鹿な話。
.
だからAは、
自分にゲームをやるセンスが壊滅的にないことを知らないし、
むしろ俺の方がゲーム苦手だと思ってる。
.
まあそれで君がご機嫌ならそれでいい。
このことを知ってるのは俺だけ。
.
俺が手加減するなんて、相当レアなんだからな。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年4月15日 22時
