一生懸命、君と恋

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撮影が急遽伸び、思いもよらず出来た時間。
普段なら別々に個々の時間を持つ俺達だったが
今日はよく話した。
それでも彼女の近況が知れることは何一つなかった。
……それでいい。それは他人から知らされることじゃない。Aが俺に話したいと思ってくれた時聞きたいことだから。


今思えば、隆二はずっとタイミングを図りかねていたのかもしれない。






「焦らずゆっくり頑張るよ。
Aにもう一度振り向いてもらえるように…さ。」





今度こそ、大切にする。そう決めたから。
自分の気持ちを押し付けることだけはしたくない。それじゃあ結局前と変わらないから。
自分本意だったあの頃の俺と。

それを言った途端、隆二の雰囲気が変わった。
さっきまでの柔らかいものから張り積めたものに変わった気がした。






「臣、お前に言っときたいことがあるんだ。」






喉が、鳴る。
もう短くはない付き合いの中で彼の覚悟や決意みたいなものは充分伝わってきた。






「大切にしてくれるのは嬉しい。ゆっくり時間をかけてくれた方が二人にとってもいいのも勿論わかってる。けど……それじゃダメかもしれない。

＿＿＿＿あいつ、今までソウルに居たんだ。
もしかしたらまた向こうに戻るつもりかもしれない。」







ソウル……？

また戻るかもしれないって？

やっと見つけたのに……嘘だろ







「あの時もそうだった。もうどうしようもなくなってからしか言わないんだよ。あいつは。
多分また同じことをするかもしんない。
だからそうなる前に、伝えたい事とかそういうのあるんだったらさ……今度はちゃんと伝えてやって欲しい。

Aにも、臣にも
二人にはもう後悔はして欲しくないんだ。」







突然の話に頭がこんがらがって何て返したらいいかもわからない。
でも、これだけははっきりした。
曖昧じゃダメなんだ。
臆病になってる時間もない。

なら、今の俺がすべきことはただ一つ。









『急でごめん。明日の夜、会えないかな』




意を決して送信ボタンを押した。

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