14 ページ14
.
『また最初から始めてよ。俺と』
すぐにはその意味がわからなくて
どう受け止めたらいいのかもわからなかった。
『男友達の一人として』
そう言われてホッとする自分と
相反する思いを抱いてしまった私は何て勝手なんだろうと思った。
゛やり直そう ゛
その言葉を拒絶したのは他でもない私なんだから。
『友達として、なら』
どうしてまた素直になれないんだろう。
本当は、嬉しかった。
今日だって……会いたかった。貴方に。
また繋がれることが本心では嬉しいはずなのに。それでもやっぱりまだ怖いと思ってしまうの。
゛友達の一人として ゛
これから私はどうしたらいいんだろう。
私達は一体どうなっていくんだろう。
散々悩んだその答えは意外にもすぐにわかった。
【もしよければ、明後日一緒にご飯食べに行かない?
Aちゃんが好きそうな店見つけたんだ。】
あれから頻繁に来る彼からの連絡。
彼は私を昔のように『Aちゃん』と呼ぶようになった。
私達が付き合う前に使っていた呼び方。
だから私も彼を『臣くん』と呼んだ。
【今日は素敵なお店に連れて行ってくれてありがとう。ご馳走様でした。】
好きな食べ物は?好きな音楽は?
行ってみたい場所はある?
本当に最初から始まった私達の関係。
ご飯やお茶に行っても、それで終わり。
家には上がらないし手も繋がない。
本当にトモダチとしてだけの関係。
はじめは戸惑うことが多かったけれど、時間と共にそれも薄れてきて段々と……いつの間にか楽しみになっていた。
貴方と過ごす新しい時間が。
昔と同じ事もあれば違う事も沢山あった。
年齢を重ねて大人になったせいもあるかもしれないけれど。
それでも貴方はやっぱり変わらない。
優しくて、かっこよくて、でも時々子供みたいに笑うの。
昔、自分が辿った感情の道を辿るには
そう時間はかからなかった。
「はぁ……」
仕事の終わりを告げた時計を見て出た溜息。
誰かと約束でもあれば違うのだけど、今日は生憎それもない。
足取りが重い帰り道。
使うつもりのない携帯を握り締めて帰るのは、念の為。
カツカツカツ
______ジャリ、カツカツ…
立ち止まれば、止む。
また歩き出せば同じタイミングでまた聞こえ出す靴音。
臣くんと会うようになってから、頻度が増えた気がする。
知られてしまったんだ。臣くんの存在を。
恐怖が増して、携帯を持つ手を更にぎゅっと握り締めた。
338人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいみか(プロフ) - さこさん» さこさん、今年もよろしくお願い致します〜(*´∇`*)臣くんが好きなゆえにどうしてもいつもストレートに結ばさせてあげられない私です(^-^;)次回判明の…予定(笑)ドキドキ楽しんで頂けるように頑張ります。さこさんいつも感謝ですv (2021年1月5日 13時) (レス) id: 01879ff23f (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - こんばんは!主人公が何者につけられてるのか気になるΣ(゚д゚lll)早く臣くんに連絡!!せーっかく二人がうまくいきそうなのに、水をさすのは誰!許せません( *`ω´) (2021年1月4日 21時) (レス) id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
あいみか(プロフ) - さこさん» こんばんは.:*:・'°☆さこさんいつもありがとう(*´∀人)更新かなり開いてしまった上に一話のみで本当に申し訳ないです(・・;)感想頂けて本当に嬉しかったです。感謝です!次はなるべくもう少し早く…頑張りますφ(・д・。) (2020年12月30日 20時) (レス) id: 01879ff23f (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - こんにちは!臣くんよかったですね!主人公が一歩踏み出してくれて。また0からのスタートでも主人公に臣くんの気持ちが伝わって、振り向いてくれる事を祈ります!!次回も楽しみです(^^) (2020年12月30日 15時) (レス) id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
あいみか(プロフ) - さこさん» さこさんいつもありがとう!ちょっと気になる所で終わしてみました(*´ω`*)自分でハードル上げちゃうと大変なのであんまり言えないけれど…楽しみにしてもらえると嬉しいです。 (2020年12月12日 11時) (レス) id: 01879ff23f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あいみか | 作成日時:2020年11月22日 14時