紡ぐ45 ページ48
明日退院するよ、と言い残して
緋山先生は出て行った。
命ってなんだろう。
この病気になってからずっと考えている。
私は助けられてばかりで誰かを助けることなんてできるのか。
以前、緋山先生に私は聞いた。
心を助けることもナースとしての役割の一つ。
その言葉がふと頭をよぎった。
私は冴島さんの心を助けることはできるのだろうか。
…、まだ起きてるかな？
私はそっと点滴棒を押して病室を出た。
冴島さんの病室は緋山先生に聞いていた。
きっと私が行くことを見越してのことだろう。
『ここだ…』
病室の前に立つと窓際のベッドだけ明かりがついていた。
「A？何してるの？」
不意に声をかけられそちらを見るとお姉ちゃんが立っていた。
「…、聞いたの？」
『緋山先生から…。ねぇ、』
お姉ちゃんに冴島さんに会っていいか聞こうとする前に
手を引かれてお姉ちゃんはぐいぐいと病室に入っていった。
ちょっと待って！私も心の準備が！
なんて思う間もなくお姉ちゃんは勢いよくカーテンを引っ張った。
「びっくりした…！白石！Aちゃんまでいるじゃない。
どうしたの？こんなところまで」
「あ、あの、聞きたいことがあって」
バカ。
何も考えずに来たでしょ。
目を泳がせながら話すお姉ちゃんに心の中で悪態を吐く。
…、ってそれは私もか。
姉妹揃ってよく似ている。
「Aちゃん、おいで」
どうしたものか、と立ち尽くしているところに
冴島さんが優しく声をかけてくれる。
『…、冴島さん』
「優しいね、Aちゃん」
ぎゅっと抱きしめてくれる冴島さんに涙が溢れる。
私が泣いちゃダメなのに。
必死に涙を止めようとするけどできなくて。
冴島さんの胸に顔を埋めることしかできない。
「来てくれてありがとう。嬉しいよ」
「Aは本当に冴島さんのことが大好きだね」
「ね…」
「緋山先生、泣いてるの？」
「…、うるさい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まお(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます(^^)待ってました、のお言葉すごく嬉しいです。頑張ります。 (2018年9月30日 8時) (
レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - なーなさん» コメントありがとうございます(^^)なんとか絞り出したので今後訂正するかもしれませんが、、、。また、いらして下さい。 (2018年9月30日 8時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まってました！更新頑張ってくださいね^ - ^ (2018年9月30日 1時) (レス) id: d0b35e2f73 (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 続きが気になります！頑張ってください！ (2018年9月30日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2018年9月12日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まお | 作成日時：2018年7月30日 0時
