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紡ぐ38 ページ41

お姉ちゃんから冴島さんが目を覚ましたよ、と

聞いたのは2日前のことだった。


今日から復帰するよ、と聞いたのが今日の朝。


「おはようございます」


不意に病室のドアがノックされ入ってきたのは

雪村さんだった。



『おはようございます』



内心、冴島さんじゃなくて残念、なんて思ったけど

雪村さんはテキパキとバイタルを測って出て行った。


久しぶりに国試の勉強でもしようかな、と

過去問を取り出し勉強を始めた時、再びドアがノックされた。



『どうぞ』



お姉ちゃんだろうな、と思って

問題集から目を離さず返事する。



「Aちゃん」



大好きな声が聞こえてゆっくり顔を上げると

そこにはにこやかな笑みを浮かべた冴島さんが立っていた。



『冴島さん…』



一気に視界が歪み手元に雫が落ちていて

自分が泣いていることに気づいた。



「泣かないで。綺麗なお花、ありがとう」



そっと私に近づいてきてゆっくりと頭を撫でてくれる。


その手は私が大好きな手だった。


ようやく涙が落ち着き改めて冴島さんを見る。



「勉強してるの?約束、今日なら守れそうね」



近くにあった椅子をベッドの側まで寄せて

私の参考書を覗き込む冴島さん。



『教えて下さるんですか?』


「もちろん。だって約束したじゃない」


『ありがとうございます』


「ここから解いてみよっか。この時はね…」



冴島さんは丁寧に一つ一つに時間をかけて教えてくれた。



「病態生理については白石先生の方が分かりやすいかもね。

産婦人科は緋山先生、脳外科は藍沢先生が専門ね」


『藤川先生は?』


「整形だけど多分途中からおかしな方向に進むわよ」


『でも、藤川先生のことを話してる冴島さん、

幸せそうです』


「こら。もう教えないわよ」


『すみません』



少し怖い顔をしながらもすぐに微笑んでくれる。



「あ、もうこんな時間。そろそろ行かなきゃ。

また、分からないところがあればいつでも言って。

出来る限り来るようにするわ」


『復帰したばかりなのにありがとうございました』


「ううん。また、白石先生と来るわね。

ゆっくりしていてね」


『はい。ありがとうございます』



部屋を出て行く冴島さんの背中を見て改めて思う。


…、私絶対に冴島さんみたいなナースになります。

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まお(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます(^^)待ってました、のお言葉すごく嬉しいです。頑張ります。 (2018年9月30日 8時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - なーなさん» コメントありがとうございます(^^)なんとか絞り出したので今後訂正するかもしれませんが、、、。また、いらして下さい。 (2018年9月30日 8時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まってました!更新頑張ってくださいね^ - ^ (2018年9月30日 1時) (レス) id: d0b35e2f73 (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 続きが気になります!頑張ってください! (2018年9月30日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年9月12日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まお | 作成日時:2018年7月30日 0時

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