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紡ぐ26 ページ29

お姉ちゃんと話したその日の夜。

消灯時間を過ぎて日付けも変わろうとしているけど

どうしても眠れなくて病室を抜け出して

真っ暗な廊下にあるソファーに座る。

目の前の大きな窓からはカバーに覆われた

ドクターヘリが見える。



『…』



そっと左胸を触る。

明日からはここにカテーテルが入る。

傷のない自分の体を覚えておこう。



「寒くない?」



ふと声を掛けられて思わず肩を震わす。

振り向くと紙コップを2つ持った緋山先生がいた。



『緋山先生』



はい、と渡された紙コップには

温かいミルクティーが入っていた。



「おごり」

『ありがとうございます』

「なにしてんの?こんなとこで」

『…、緋山先生もお姉ちゃんも冴島さんも

藤川先生も藍沢先生もフェローの先生たちも

あのヘリに乗って色んな人を助けるんですよね』


「そうだよ」

『…、私は助けられてばかりで、これから先

誰かを助けることなんてできるんでしょうか?』



大きな目をもっと見開いて

驚いた表情を浮かべる緋山先生。

私は看護師になって

人の命を救うことができるのだろうか。



「ナースは人の命を救うことか全てじゃない。

人の心を救うこともナースの大切な役割の一つよ。

誰かの気持ちに寄り添って心の痛みを取り除く。

Aちゃんには冴島みたいなナースになってほしい」



お姉ちゃんと同じことを言う緋山先生に

思わず笑みがこぼれる。



「急に笑ってどうしたの?」

『いえ。お姉ちゃんと同じ事言うんだな、って。

お姉ちゃんもずっと前から言ってたんです。

冴島さんみたいなナースになれ、って』

「白石と一緒か…。なんかやだ」



ふふ、と笑う緋山先生をじっと見る。



「私ね、フェロー時代に

訴訟問題を起こしかけたことがあるの」

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まお(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます(^^)待ってました、のお言葉すごく嬉しいです。頑張ります。 (2018年9月30日 8時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - なーなさん» コメントありがとうございます(^^)なんとか絞り出したので今後訂正するかもしれませんが、、、。また、いらして下さい。 (2018年9月30日 8時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まってました!更新頑張ってくださいね^ - ^ (2018年9月30日 1時) (レス) id: d0b35e2f73 (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 続きが気になります!頑張ってください! (2018年9月30日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年9月12日 0時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まお | 作成日時:2018年7月30日 0時

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