百九十五話*挨拶 ページ27
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「うわあ、誰もいないね。当たり前か」
慣れた手付きで何時ものように教室へ入る。其処には皆の受験を応援し終えた殺せんせーがいた。
「野上さん! 如何しました?」
「暇だったから、挨拶にでも行こうかな……って」
大騒ぎしていた教室は静まり返っており、もう皆がいないように思えた。卒業したら此処には来なくなるんだろう。
「殺せんせーはやりたい事とかないの? 死ぬかもしれないのに」
「やりたい事ですか……そうですね、皆さんの卒業式を見たいですねぇ。まぁ無理、かもしれませんが」
「……そっか」
否定することができない。殺せんせーの寿命やその他諸々を考えると不可能に近いから。生温い言葉なんか掛けられない。
「野上さんにはありますか?」
「……あるね」
「それはなんでしょうか?」と殺せんせーが問う。僕はゆっくりと顔を上げ、殺せんせーを見た。
「“私”はね、皆と楽しく暮らせればいいよ。殺せんせーも一緒にね」
「………………」
「まぁ瀬戸内も含めてやってもいいよ? ほら、一応生徒だったし」
殺せんせーはなにも云わない。なにを考えているのかすら判らない。
「野上さん、貴女は……」
「ポートマフィアにはずっといる心算だよ? 経歴が穢れすぎてるから光があるところには戻れない」
憧れているけれど、いれるわけがない。光は手を伸ばしても届かない。
「そうですかねえ、此処は光がある世界です。野上さんは光がある世界にいれてましたよ」
「ほぅ、嬉しい言葉ですね。ありがとうございます」
腕時計を確認する。時間は未だ余裕があるがそろそろ帰らなくては。任務や報告書作成もある。
「じゃ、帰りますね。さようなら」
「はい、お気をつけて」
世界は残酷だ。醜いものを残して綺麗なものを奪う。
殺せんせーの暗殺期限まであと_____
「……もう、終わりかな」
空は茜色に染まっていた。徐々に世界は夜に染まる。
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織姫 - オリエンス★さん» 確かにケモ耳つけたい……とにかく悪戯したいです!小さい中也さん絶対可愛いですよね〜 (2017年2月5日 18時) (レス) id: 0e1e5b3740 (このIDを非表示/違反報告)
オリエンス★ - wwちゅ、中也がさらにちっちゃくwwwwやばいwwwwケモ耳めっちゃつけたいwwww面白いです!!更新頑張って下さい!! (2017年2月5日 18時) (レス) id: 9d98047001 (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - 琉姫さん» お祝いの言葉ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年2月5日 10時) (レス) id: 0e1e5b3740 (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - peromi0111さん» どうしてもしたいネタだったんですよ〜。中也さんは絶対可愛いと思います!これからも頑張りますね! (2017年2月5日 10時) (レス) id: 0e1e5b3740 (このIDを非表示/違反報告)
琉姫 - 続編、おめでとうございます!これからも、楽しみにしてます。 (2017年2月4日 22時) (レス) id: 280b60e775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天原依愛 | 作成日時:2017年2月4日 13時