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『アレの完成も近い。完成すれば間違いなくこの世の常識はひっくり返る。ふふ、今から楽しみだわ。ねぇ、あなた』
喪服のような格好をした女性(えっと、何て名前だっけ？)が薄らと笑みを浮かべながら、手元に目を落としている。そこには、1つの絵がある。額縁に入ったそれには、2人の男女の姿があった。一方は、似ていることから、目前の女性を描いたものだと分かる。彼女が『あなた』と言ったのは、その隣の男性の事だろう。
『母さん』
その女性の後ろで、彼女を呼ぶ人がいた。16か17歳に見える少年だ。憂いを帯びた表情をしている。
『あら、ミルート。どうしたの？』
『その、』
言い淀む少年、ミルートだったか、を見て、彼女は先程とはまた違った微笑みを浮かべると、彼にそっと近づく。
『あの子がまた何かしたのね。あの子はどこにいるの？』
『……リビングにいるよ』
2人が部屋から出る。そのリビングに行くんだろう。
そして2人がついた先には、なんて事ない風景が広がっていた。リビングで、少年より1、2歳下に見える少女が笑っているだけだ。
『ママ！』
女性の姿が見えると、嬉しそうな声を上げて、タタッと駆け寄る少女。
『今度は何をしたの？』
女性も嬉しそうに応える。
『あのね、兎がなんであんなに跳ぶのか気になったから、脚の"中身"を覗いてみたの！』
少女の手には兎の脚が握られていた。そこから上はなかった。
『それで、理由は分かった？』
『うーん、それがね、よく分かんなかった。でもね、脚を切ったら、兎がビクッ！ って震えたの！ それが面白かったなぁ』
『それは良かった。 それにしても、服も手も足も汚れてるじゃない。お風呂に入りましょう？』
『あ、そうだね！ 洗ってくる！』
そうして元気よく少女は走って行った。血で汚れていたので、女性の言う通りに洗ってくるんだろうな。
そんな少女を微笑ましそうに見送った彼女は、改めてミルートに向きあう。
『母さん。良いの？』
『えぇ、あれで良いのよ』
『……』
痛ましそうに、彼は少女が兎の解体をしていたらしい場所を見る。そこには血溜まりと色々な部位が切断された兎が転がっていた。
『俺はやっぱりこれが良いとは思えないよ。マイカが狂っている方が良いだなんて……』
……え、マイカ……？ 既視感のする名前だった。どこで聞いたんだっけ。思い出せない。思い出さなきゃ。これはこれは、私にとって、特別で大事な、憎い名前……だったような気がする。でも、まぁ、いっか。
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです！アスラ君、大好きでした！ (2019年9月26日 7時) (
レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです！ (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます！いやぁ、めでたしめでたしですね！！アスラ君最後まで大好きでした！お疲れ様でした！！ (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも！ (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*ﾟ▽ﾟ*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/
作成日時：2016年4月26日 0時
