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『おぉ、知っておったか。流石だな』
『えぇ。ちなみに、その由来は知っているの?』
 妙な質問をするカレア。
『いや。なぜその問いを?』
『……気になったからよ』
 歯切れの悪い答え。しかし、王はそれほど気にならなかったのか、それ以上追及する事はなかった。
『では、これより、魔法専門機関を設立しよう。そなたが主任だ。メンバーはそなたが自由に選ぶのだ』
『分かったわ』
 そう言って頷くと、カレアは踵を返した。そのまま去ろうとする。
『お、おい、待て。どこへ行く』
 やっと我に返った臣下がカレアを止める。
『あら、私の用件が終わったから帰るのだけれど?』
『それは陛下がお許しになってからだ。勝手に去ろうとは何様のつもりだ!』
 再び激昂する家臣に、カレアは余裕の笑みを送って、
『そうね、マギアノ様、かしら。ふふ』
 今度こそ帰っていった。

・・・

 カレアは帰宅した。
『ただいま』
『ママーおかえり!!』
『おかえり、母さん』
 ぎゅっとカレアに抱きつくマイカ。
『どうだった? 大丈夫だった? 殺さなかった?』
『えぇ。本当は焼き尽くしたかったけれど』
 にこやかな笑みで会話する親子。殺したかったなら殺せば良かったのに。

『そうだ、王から名前をもらったわ。マギアノって名前。おかしいわよね』
 カレアはくすくすと笑う。
 その言葉に反応したのはミルートだ。
『マギアノ……王様は成り立ちを知らないんだろうね。知っていたらそんな名を与えないだろうし』
『どうして?』
 唯一分かっていないらしいマイカが首をかしげて、兄に問う。
『マギアノは元々"破滅を示す者"という意味なんだ。そこから、破滅を予知する者、破滅を予測できる者、で、破滅を予測できるのは賢い者だから、賢者、となったんだよ。そんな不吉な成り立ちを持つ名前を、普通あげないだろう? ……母さんの企みを知っていたら別だろうけど。そもそも知っていたら、研究の援助をするはずないけどね』
 へぇ。知らなかった。私の時代じゃ、マギアノの意味すらもう残っていないからなぁ……。

 ミルートが悲しそうに笑う。
『良かったね。母さんの復讐がこれで何もしなくても果たされる。……もう、血濡れた道を歩む必要は、ないよ』
 対して、カレアは、それはそれは"素敵な"笑みを浮かべた。
『えぇ、そうね。これから勝手に血濡れていくのは……この世界だもの』

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/  
作成日時:2016年4月26日 0時

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