消えたキセキはバスケやめてバレーやってるんだってさ (ページ11)

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9話ページ11

それはほんとにたまたまだったんだ。

僕はその日宮城県の皇陵(こうりょう)高校(オリジナルです)に来てた。もちろん推薦を貰ってたとこのひとつで見学に来てたんだよ？
皇陵高校はインハイ、WCの常連校でBEST8には必ず入るというそこそこなバスケの強豪校らしくてね、東北あたりでと思ってたからちょうどいいやと思って見学に来てみた。

そうだな、練習が終わる頃だったかな。ギャラリーのうちの1人が
「やばい！及川さんの試合始まっちゃう！」
と言ったのを皮切りにみんなバタバタと消えていったんだ。

僕は隣にいたマネさんに聞いてみたの、及川さんて凄い人なんですか？って
そしたらマネさんがさ

「青葉城西ってとこにいるやつでね、バレーの強豪校なんだけどさ、顔よし、ファンサよしでとにかくモテるんだよね、そんでもってちゃんと強いんだって。」

バレーと言えば体育で少しやったくらいでさ特になんとも思わなかったんだ。

「まあ青城はチーム力がすごくてね、歯車みたいなチームなんだよ。ほら歯車ってさひとつでもずれたら噛み合わないでしょ？青城は噛み合うんだよ。ひとりひとりが歯車なの。」

まさにチームスポーツ！を具現化した感じ。

そう語るマネさん。この時僕はなぜか観てみたいと思った。
どうして興味が湧いたのかは僕には分からなかったよ。

僕が興味を持ったことにマネさんが気づいたのか

「もう練習終わりだし帰りにでも観に行ってきなよ。」

そう言って仙台市体育館までの行き方のメモをさっと書いて渡してくれた。

僕はお礼を言って皇陵高校を後にした。

そのメモを頼りに体育館に行ってみた。お目当ての及川さんは直ぐに見つかったよ。そこにはさ、僕が見たことのない景色が広がってたんだよ、、

バスケの時とは違う匂いのする体育館、バスケの時とは少し違うシューズの擦れる音、ボールが床に叩きつけられる音、そして何よりも声を掛けあっていて、笑顔が溢れてるそのコート。

それら全てに僕は感動を覚えた。

青城のするバレーはマネさんが言ってた通りチームスポーツそのものだった。