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「ただいまー！」
母「おかえり〜！Aちゃん良かったねぇ！」
「うん！」
元気に家に帰ると、嬉しそうなお母さんが玄関まで私達を出迎えに来てくれた。
試合は無事に初戦突破で、次の試合はまた来週。
ﾊｷﾞｮﾝ「いや〜、あいつ凄いな〜！ズバ抜けて上手いよ！」
ハギョンお兄ちゃんも先輩のプレーを絶賛してくれて、まるで自分のことのように嬉しい私は興奮を隠せない。
「だって先輩毎日頑張ってるもん！お昼休みも一人でずっと練習してるんだよ？」
ﾊｷﾞｮﾝ「おぉ〜。さすがファン1号のAだね〜。
でもホント、テグナならプロに行けるかもね」
「うん！……え？プロ？」
寝耳に水の話に驚いてお兄ちゃんを見ると、キョトンと見つめ返される。
ﾊｷﾞｮﾝ「A知らなかったの？
あぁ〜そっかぁ……。この前テグナの家に父さんと母さんで行ったんだよ。
Aを助けてくれたお礼が言いたくて……」
「それなら知ってる。先輩が教えてくれたよ」
ﾊｷﾞｮﾝ「そっか。その時ちょっと話してさ。
あいつプロのサッカー選手になりたいって言ってた」
「そう、なの？でも……そっか、先輩ならなれるね！きっと！」
寝る前、お兄ちゃんに知らされた先輩の夢について考えていた。
私が考えたってどうにもならない事だけど、初めて先輩の現実的な未来が直ぐそこにあるのを感じて、改めてこれからの事を考え始めた。
この間校長先生とも話した事を思い返してみても、先輩は大学でもきっとサッカーを続けて、私もそれを望んでいて……。
……私は？どうしよう……
ずっと彼を見てはいられない事くらい分かっていた筈なのに……。
このまま付属の大学へ進めば、サッカーの有名校だから先輩には有利だろう。
私は……
ずっと美術が好きで、好きなだけで続けてきたけど、最近お母さんの知り合いの美術館で働かせてもらえるようになって、やっぱり美術関係の仕事に就きたいと、密かに思うようになっていた。
でも、今のままでは知識も経験も足りなすぎて、出来れば専門的な事が学べる学校へ進みたいとも考え始めていた矢先だ。
もう、追いかけてはいられない。
真っ直ぐ、夢を実現する為に日々努力し続ける先輩を見習いたい。
そんな風に思いながらも、やっぱり切なくなって、ほんの少しだけ涙が出た。
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作者名：サラン | 作成日時：2016年2月28日 14時
