宝物 2

新しい関係 ページ24

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朝から動悸が激しくて倒れそう。



LE『明日帰るから。またあそこに来て？』


昨夜の電話で約束してしまったから。



″あそこ″とは、あそこ。

狭い更衣室。


あぁ……吐きそう……

ドキドキして、ソワソワして、変な汗ばっかりかいて、今にも倒れそう。



嬉しいのに戸惑いと不安と、
それから、
この幸せを喜んでいいのか……

複雑過ぎて一歩踏み出すのが怖い。


実はまだ半信半疑。

昨夜まで幸せでも、今日、明日、どうなるかは分からない。

だったら只の妹として一人でもがいていれば良かったのかもしれない。
そして来月になったら笑顔でサヨナラを言って……


なんて、
考えたってしょうがない事を考えちゃうから怖くなるんだ。


自分がこんなに臆病だったなんて……

また田中に知られたらバカにされるんだろうな……。




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出社してなかなかの上の空で仕事をして、一息ついたところでスタッフがにわかにバタつき始めた。


帰ってきたんだ……！


やっと落ち着いてきたのに、ブワッと変な汗が噴き出して最高潮の動機息切れ。



ぃ、今行った方がいいかな？
でもまだ……
てか更衣室誰か使ってないかな？
早く行きすぎても恥ずかしいし……

あぁもう！どんな顔して会えばいいの！？

てか鼻テカってない？口臭大丈夫？
トイレ行っとこう！


思い立って普段持ち歩かないメイクポーチを掴んで部屋を出てトイレに一目散。



お兄ちゃんって普段のんびりしてるくせに行動する時は以外と早いんだよね。
早くしなきゃ！


焦り始めて廊下の角を曲がった所にあるトイレに駆け込もうとしたら……


「ひっ！？」


自販機の影から突然伸びてきた何かに捕まって、変な隙間に引き摺り込まれた。



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