宝物 2

前途多難 ページ3

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N「Aちゃん、″ゆ″ってこの書き順で合ってる？」

HB「ヌナ〜、″ちゅ(つ)″が上手く言えないんだけど……」

KN「Aチャン、オヒルナニタベマシタカ？……合ってる？凄くない？俺凄くない？」

RV「凄い凄い。キヨ〜」

HY「ヌナ〜、その人何でそこにいるんですかぁ？」


久し振りに皆で講習が出来ることになって、会議室で只今勉強中。


皆ふざけてるようで実は熱心だから、だいぶ日本語が上達してきた。


何故か隣に座って足組んで頬杖までついてふんぞり返っているこの人を除いては。



「テグンさん、向こう側に座ってください」


あんまりしつこいから、一応『LEOさん』呼びは止めて『テグンさん』呼びにしてあげた。


LE「……何で？」


「やりにくいからです」


LE「違う。何で『お兄ちゃん』って呼ばないの？また敬語だし。
……もしかして…………反抗期？」

「違います。これが私の仕事だからです」


……この人、思ったより疲れるな……


LE「………冷たい……」


眉毛を下げるんじゃない。

唇を突き出すんじゃない。

ショボくれるんじゃない。

蚊の鳴くような声を出すんじゃない。


ダメだ……私は仕事中。私は仕事中。私は……


「…………はぁ……」


HY「あぁ〜、ヌナ、心中お察しします」


ありがとうひょっくん。


「テグンさん、これが私の仕事なんです。私はあなた方に日本語を教える為に韓国に来たんです。私はこれで生活しているんです。そして私はこの仕事が好きだし、誇りを持っています。だからちゃんと仕事をさせてください」


HB「おぉ〜。ヌナ格好いい〜」


年下達に拍手までされるけど、テグンさんは更にシュンとしてしまった。



N「Aちゃんの言うとおりだよ。テグナおいで？僕の胸に……」


流石リーダー。

すっかり落ち込んでしまったテグンさんを慰めようと、暖かい心で両手を広げてくれたのに……


LE「お前は嫌だ……」


呼んでもいないケン君の所にすり寄って行ったワガママな大男。


N「…………チッ」


行き場の無くなった両手はそのままに、いつも私には優しいエン君が舌打ちをしたのを、

見なかった事にした。






その後は短い時間だったけど、皆いつもみたいに和気あいあいとしながら日本語を勉強してくれて、

やっと帰れる時間。




……疲れた。

濃すぎる一日だった。

関係が戻った初日からコレだと、私どうなっちゃうんだろう？

前途多難。



つーか、田中どうなってる？



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