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RRRR……
布団に入って数分後に、それを思い知る。
「……テグナ?」
『何で電話してこないの?』
「え?」
『ずっと待ってたんだけど』
「え?ぁ、ごめん……?」
一方的。
でも掠れ具合がいつもより疲れてるから、心配が先に立つ。
「テグナ大丈夫?」
『心配なら電話してよ』
「でも……疲れてるかなって……」
『疲れてるからAの声が聞きたかった』
そんな風にハッキリ希望を言われて、
あぁ、そうなんだ?
って、毎回気付いてハッとする私。
ホント、いつまで経っても学習能力ゼロ。
「邪魔かなって……」
『…………』
無言にまた、
あ、怒らせちゃった?
って後から気付く、更にダメダメな私。
これでも恋人です。すいません。
『はぁ…………』
「ごめん……」
溜め息には流石にシュンとする。
『……A、そんな声が聞きたい訳じゃない。只声が…Aが電話の向こうでいつもみたいに何気無い事を話す声が聞きたいんだよ。
そうすれば今Aが何をしてるかとか、どんな体勢で話してるか、寝っ転がってるのか、うつ伏せなのか、何か食べてるところなのかとか……思い浮かべられるでしょ?』
「……ぅん……」
『昨日も話してない。Aが今日何をして何を考えて過ごしたかも分からない。僕にはそれが耐えられない。
疲れた時ほど考えるから……Aの事』
「うん……ごめんね?」
『違うだろバカ』
「うん。テグナの事ばっかずっと考えてた。心配だったの」
『うん』
「ご飯食べた?パジャマ着替えた?」
『うん、ちゃんと食べたし、着替えたよ。Aが用意してくれたやつ。ありがとう』
「じゃあもう寝れる?」
『寝れるけど……もっと声聞きたい』
「テグナ……」
『うん?』
「ちゃんといっぱい寝て?朝御飯もお腹いっぱい食べてね?」
『うん』
「倒れたりしないで?無理しないでね?」
『うん。それから?』
「早く会いたい……」
『……会うだけ?』
「会ってぎゅーってしたい。テグナの枕みたいに」
『枕?あぁ……僕の代わり?』
「そう。でもテグナがいい」
『だろうね』
いつもに増して王様なテグンに恋しさが募る。
彼のドヤ顔が目に浮かんで、益々会いたくなった。
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作者名:サラン | 作成日時:2017年7月4日 6時