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次第に街がざわつき始めてくる。
車通りが増えて、遠くでクラクションの音が聞こえてきて、部屋の中からリビングのテーブルに置いたスマホのアラームの音も聞こえてきたと思ったら、直ぐに止んだ。
「?」
いつもはもっと長く鳴るのに……?
疑問に思って、カーテンを避けながら部屋に戻ると、
「っ!」
ソファーに座って私を見ているテグンがそこにいて、息が止まりそうになった。
「……おはよう」
朝陽が眩しいのか、少しだけ目を細めて、彼の小さな声が部屋に響く。
「…………」
言葉が出てこなくて、返せずにいると、一瞬悲しげに視線を落とした彼がゆっくりと立ち上がった。
逃げたいような、初めての感覚にも動揺して、でもやっぱり動けなくて……
彼が棚の奥から夏の間仕舞っておいたブランケットを引っ張り出して近付いて来る様子を、茫然と見ていた。
「……冷えてる」
肩に掛けられて、見上げたテグンの顔。
躊躇いながら離れていく手の温もり。
直ぐ側で感じる彼の気配。
背の高さ。
その全てに胸が締め付けられて、痛感する。
どうしてこんなに好きなんだろう……
って。
お願い、離れて行かないで……
言えばいいのに、口に出せばいいのに言えなくて……
ソファーに戻ろうとする彼のパジャマの裾をかろうじて掴んだ。
「………」
「………」
無言で立ち止まって、それから無言で繋がれる指。
その温もりに、やっぱりまた、泣きそうになった。
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ERI(プロフ) - サランさん» 是非!宜しく御願いします (2016年10月10日 14時) (レス) id: 50277497f7 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - ERIさん» ERIさんありがとうございます(>_<)そう言って頂けると、凄く嬉しくて励みになります!今後とも宜しくお願いします(*^^*) (2016年10月9日 22時) (レス) id: 6dcd7388fb (このIDを非表示/違反報告)
ERI(プロフ) - サランさん» お返事ありがとうございます!新しいの見ました!凄く面白いです!また次の更新期待してます! (2016年10月9日 15時) (レス) id: 50277497f7 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - pubuさん» pubuさん、ありがとうございます!読んで頂き、更にコメントまで頂けて、恐悦至極です(>_<)これからも頑張るので、宜しくお願いします! (2016年10月9日 8時) (レス) id: 6dcd7388fb (このIDを非表示/違反報告)
pubu - 初めまして^ ^実は密かに拝見させていただいてました> <僕の彼女シリーズが大好きでいつも更新楽しみにしています♪これからも更新頑張ってください!応援してます! (2016年10月9日 0時) (レス) id: c5f36204de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラン | 作成日時:2016年8月31日 0時