僕の彼女の寝相 1 ページ20
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朝方、ふと目が覚めた。
ちょっとした違和感に。
いつもなら、僕の体にAの腕が乗っていて、その少しの重みが心地よかったり、
くっついて寝てる事に意識の奥で愛しさを感じたり、
真夏だとほんの少し暑苦しかったりするんだけど、それが感じられなくて。
薄く瞼を開けると、朝方の薄暗い外の光が部屋を少し明るく照らしていて、肝心のAは……
直ぐ隣にこちらに背を向けて寝ていた。
何かを抱き締めている。
……あぁ……そうか……
僕が昨夜プレゼントした抱き枕だ。
気だるげな猫の顔がついてるやつ。
「………」
なんとなく気に入らなくて、彼女の腕の中からそれを引っ張り出してベッドの下に放り投げた。
「ん……」
Aが小さく身じろいて声を洩らしたから、
「こっち」
腕を少し引くと、モゾモゾ探るように動いてきて、
「ぅ……ん……」
いつもの位置にピッタリとくっついて落ち着いたのか、また可愛い寝息を立て始める。
可愛い……
そうそう、これこれ。
これが一番落ち着く。
満足して、僕ももう一度瞼を閉じた。
朝、久し振りにAと同じ時間に起きて、
「あれ?……ない……あ、あったあった」
ベッドの下に転がる抱き枕を、Aが独り言を言いながら拾っているのを聞きながらリビングに行った。
「私、そんなに寝相悪いかなぁ?」
ご飯を食べながらAが小首を傾げる。
「なんで?」
「だって抱き枕落っこちちゃってたし」
「……たまたまだよ」
「抱き枕蹴っちゃってるんだったら、きっとテグナの事も蹴っちゃってたよね?」
「いや?全然」
「そうなの?よかった〜」
そんな会話をした翌朝も、僕は同じように目が覚めて、同じように抱き枕からAを略奪して二度寝した。
その次の日も。
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ERI(プロフ) - サランさん» 是非!宜しく御願いします (2016年10月10日 14時) (レス) id: 50277497f7 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - ERIさん» ERIさんありがとうございます(>_<)そう言って頂けると、凄く嬉しくて励みになります!今後とも宜しくお願いします(*^^*) (2016年10月9日 22時) (レス) id: 6dcd7388fb (このIDを非表示/違反報告)
ERI(プロフ) - サランさん» お返事ありがとうございます!新しいの見ました!凄く面白いです!また次の更新期待してます! (2016年10月9日 15時) (レス) id: 50277497f7 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - pubuさん» pubuさん、ありがとうございます!読んで頂き、更にコメントまで頂けて、恐悦至極です(>_<)これからも頑張るので、宜しくお願いします! (2016年10月9日 8時) (レス) id: 6dcd7388fb (このIDを非表示/違反報告)
pubu - 初めまして^ ^実は密かに拝見させていただいてました> <僕の彼女シリーズが大好きでいつも更新楽しみにしています♪これからも更新頑張ってください!応援してます! (2016年10月9日 0時) (レス) id: c5f36204de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラン | 作成日時:2016年8月31日 0時