あの頃のように【番外編】 (ページ8)

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父「……お前は知らなくていい。
あれは、お母さんの嬉し涙だよ」

「嬉し涙？」

父「子供が無事にここまで大きくなったんだ。それが嬉しくない訳無い。
それに、やっぱり一人目の子供っていうのは想いが違うもんなんだよ。
お前もいつか分かる」

「そう、だったんだ……」

少し、不覚にもジーンとしてきてしまった。

そんな僕の頭に手を伸ばして、ポンポンと撫でてくれる父の微笑みも、さっきの剣幕とは打って変わって凄く温かい。

父「……お前のせいで俺の贈ったネックレスしてくれなくなったんだからな」

昨夜、僕がネックレスをプレゼントするまで、何年か前からずっと着けていたやつの事だろうか？

あれ、お父さんがプレゼントしたのだったんだ？

悪いことしちゃったかな？

「知らなかった……他のにすればよかったね」

父「いや、いいよ。お母さんが喜んでたんだから。
それに、お前はもうすぐお母さんの傍を離れちゃうだろ？
俺はずっと離れたりしないから、いいんだ」

そう、照れもせずに言ったお父さんの愛情は本物で、さっきの

『家族を愛している』

という言葉も、嘘偽り無いからあんなに堂々と言えたんだな……
って思った。

普段口数が少ないくせに……
なんだか格好いいな。

僕はやっぱり、男としても、家長としても、お父さんのようになりたいと、改めて思いました。

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