Step4 ページ5
曲が流れ出した瞬間、遅れないようにとステップを踏み出した。
まずはイントロ。歌詞を頭の中にしっかりと思い浮かべる。歌い出しのタイミングはバッチリ。
音程を外さないように。ステップを踏み間違えないように。歌詞の意味を考えるように。
練習通りにいけば、大丈夫。そう考えていると、少し余裕が生まれた。
例えば、とターンをしたあとに、試験官の人に向かってウィンクを決めた。大きくジャンプして、そのままモニター用のカメラに向かってスマイル。
モニターの向こうにいる人のことを想像する。本当にアイドルになったみたいで、すっごくキラキラだ……！
そして大事なサビ。ここは夢や未来への希望を歌っているから、大きく、力強く。振り付けもキュートに可愛く。でも決めるところはちゃんと決めて。
サビ終わり。ここがアピールチャンス。
足に力を込めて、大きく飛び上がる。練習したキュートフラッシュを、今こそ——！
モニターの向こうでも、大きな声援が上がった。
しかし。
その瞬間、私の中に一つのシーンが浮かんだ。
アイディールの受験を決めたあの日から、何週間かが経った頃。
私がアイディールを受ける、ということをどこからか聞きつけた友だちが、私のところに駆け寄ってきた。
「聞いたよ、千叶。アイディール受けるんだって？ 応援してるね！」
「頑張って、千叶ちゃん！」
そんなあたたかい言葉に救われた。だけど、
「あの子がアイドル？ おこがましいにも程があるでしょ」
「泣いて帰ってくるに決まってるじゃん」
心ない言葉もまた、私の心を大きく揺さぶった。
本当にこれでよかったのかな。アイディールに入学するなんて、やっぱり無理かな。
諦めて、普通の中学校に行った方が、こんなことも言われなくて済むのかな……。
自分を疑う言葉は考えないようにしていたのに、まるで他人にいきなり代弁されたようで、
「受かるわけない」「どうせ落ちる」「あの子なんか向いていない」
声が、耳の中で不気味にこだまする。
気づいた時には、力は抜けていて。
全身が、バランスを失ってぐらりと揺れた。
痛い。辛い。失敗、しちゃった。
……それでも、歌い続けなくちゃいけない。
踊り続けなくちゃいけない。その思いでどうにか立ち上がり、続きを歌い始めた。
笑顔もきちんと決めた。
どんな結果になっても、最後まで、アイドルらしく。それが私の、心ない言葉への抵抗。
……泣いちゃいけない。
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吹雪朱雪(プロフ) - 銀木犀さん» ですね！ (2022年3月12日 22時) (
レス) id: a6664ce86f (このIDを非表示/違反報告)
銀木犀 - 吹雪朱雪さん» ありがとうございます‼︎ 私も高校受験だったので吹雪朱雪さんとは同い年ですね…！お互い春休み自由を謳歌しましょう‼︎ (2022年3月12日 22時) (レス) id: 25f4b581e3 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪朱雪(プロフ) - おめでとうございます！受験ってことは、高校か大学ですかな？僕は高校を合格したので、もしかしたら同い年かも… (2022年3月12日 21時) (レス) @page36 id: a6664ce86f (このIDを非表示/違反報告)
銀木犀 - ななふしさん» ｳﾜｰｰｰｯｯ応援ありがとうございます‼︎ こんな時間に占ツク見てる時点で勉強してないのバレバレですがいただいたコメント見てやる気が出ました…！受験が終わったらめちゃめちゃ更新するのでもうしばらくお待ちください…‼︎ (2022年2月27日 0時) (レス) @page36 id: cb1096e7b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななふし - どうか勉強のほど頑張ってください…‼︎また更新されるのを楽しみにしています‼︎ (2022年2月23日 16時) (レス) @page36 id: 1a1d3d8eb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀木犀 | 作成日時：2019年11月10日 13時
