Step38 ページ40
全くの盲点だった。もしあの時、鐘が鳴らなかったら……私は、どう考えて道を選んでいたんだろう。
「例えば、私が以前出会った貴女のような子は、同じようにタイミングよく鐘が鳴ったのだけれど、左の道を選んでここに来たわ」
他にも、と宮鐘さんは続ける。
「勘で右の道を選んだ子、より明るく見えたから左の道を選んだ子、風の吹く方向で右の道を選んだ子……でも、そこにきちんとした理由があれば、私はそれでいいと思うの」
「理由……」
「そう。勘で選んだ子もいたと話したけれど、その子は『大事な時はいつも自分の勘を信じてきたから、今回も自分を信じた』と言ってくれたの。これもまた、素敵な理由じゃない？」
紅茶を一口飲むと、宮鐘さんはまた口を開く。
「最後の分かれ道だけ、これだっていう正解はない。こんな場面、人生でたくさん経験するし、今までも経験してきたと思うわ。そんな時に、いっぱい迷って悩んでも、自分の力で道を選んでいける……そんな強いお姫様に、私はShiny Cinderellaのドレスを着てほしいの」
真剣な面持ちがふっと緩んだ。
「合格よ、おめでとう」
「……本当ですか⁉︎」
「ええ。貴女がかける魔法のお手伝いを、私にさせてちょうだい」
採寸や使う生地の相談を済ませると、あたりはもうオレンジ色に染まりつつあった。
礼を言ってアトリエから出ようとすると、宮鐘さんが思い出したように「あ、そうそう」と言った。
「実はね、カフェで会った時から、貴女のことはずっと気になっていたの」
「え⁉︎」
「ケーキをモチーフにドレスのデザインをしてもらったわね。あの時、貴女、とっても生き生きした表情をしてた。きっとアイカツのことが大好きなのね」
「はい。私、みんなとアイカツできることがすっごく楽しくて、大好きなんです」
「ふふ、ならよかったわ。どうかその気持ちを、忘れないでいてね」
寮に帰り着く頃には、日も山の向こう側に沈んでいて、私が中庭を通るとちょうど街灯がパッと灯りを灯した。
「ただいまー」
「おかえり、千叶。随分遅かったけど、どうだった？」
一足先に帰り着いていたなおちゃんが、ヘッドフォンを外しながら言う。私も荷物をベッドの上に置き、そのまま腰掛ける。
「もう、すごかったよ。森の中が迷路みたいになってたの」
「そのテンションからすると、首尾は上々って感じ？ あたしもいい感じだよ」
後日届くカードを心待ちにしながら、その日は眠りについた。
続く (更新停止中)
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吹雪朱雪(プロフ) - 銀木犀さん» ですね！ (2022年3月12日 22時) (
レス) id: a6664ce86f (このIDを非表示/違反報告)
銀木犀 - 吹雪朱雪さん» ありがとうございます‼︎ 私も高校受験だったので吹雪朱雪さんとは同い年ですね…！お互い春休み自由を謳歌しましょう‼︎ (2022年3月12日 22時) (レス) id: 25f4b581e3 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪朱雪(プロフ) - おめでとうございます！受験ってことは、高校か大学ですかな？僕は高校を合格したので、もしかしたら同い年かも… (2022年3月12日 21時) (レス) @page36 id: a6664ce86f (このIDを非表示/違反報告)
銀木犀 - ななふしさん» ｳﾜｰｰｰｯｯ応援ありがとうございます‼︎ こんな時間に占ツク見てる時点で勉強してないのバレバレですがいただいたコメント見てやる気が出ました…！受験が終わったらめちゃめちゃ更新するのでもうしばらくお待ちください…‼︎ (2022年2月27日 0時) (レス) @page36 id: cb1096e7b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななふし - どうか勉強のほど頑張ってください…‼︎また更新されるのを楽しみにしています‼︎ (2022年2月23日 16時) (レス) @page36 id: 1a1d3d8eb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀木犀 | 作成日時：2019年11月10日 13時
