【アイカツ！】To my own Dream!

Step15 ページ16

昼休みを終えて、次の授業が行われる部屋へと向かう。
場所は体育館。昨日のレッスンのせいか、体がブリキのおもちゃになったみたい。筋肉痛は回避できなかった……。

授業開始時間の10分ほど前に着いたというのに、体育館には既にほとんどの生徒が集まっていた。
——スペシャルアピールのレッスンだからだろうか。
思い思いにみんながストレッチをしている。その人混みの隙間から見えたのは……。

「何、あれ⁉︎」

天井から吊り下がっている長いワイヤーだった。よく舞台などで空中に跳び上がる時に使われている、あれ。その下には、体操で使うような大きなマットが敷かれている。
……まさかワイヤーでスペシャルアピールの練習を？ 本当に？

「おー、みんな揃ってるね。それじゃ授業始めよっか」

そう言って現れたのは、一年生の副担任であり、昨日のダンスレッスンも担当していた紫水(しすい) 花陽(かよ)先生。アメリカの有名なダンスコンテストで史上初の三連覇を達成した凄腕ダンサーらしい。




「スペシャルアピールはライブの肝であり、ファンの人たちが一番盛り上がるところ。そして、スポンサーの人たちもそこに注目する」

整列して体操座りになり、紫水先生の話を聞く。普段のレッスンとはまた違う、緊張感。

「つまり、スペシャルアピールの完成度が、どれだけファンを獲得できるか、どれだけ多くの仕事が来るかってところに直結してくるわけ。アイドルにとって欠かせない要素よね」

言いながら、紫水先生はワイヤーの方に近づいていく。大きなマットの上に乗ると、ハーネスを自身の身に付けた。

「今回みんなに練習してもらうのは、タイプアピール。キュートフラッシュとかそういうやつね。今からお手本を見せるから、よく見といて」

紫水先生が思いきりマットを踏み込み、跳び上がる。あっという間になかなかの高さにまで到達した。そして、体が宙に浮いた状態で、ウィンクを決めながら手でハートマークを作る。——キュートフラッシュだ。

マットの上に降り立つと、紫水先生は順番に練習するように言った。

それから何度か私の順番が回ってきたものの、どうにも上手くいかない。ワイヤーは機械が引っ張っているため、跳び上がること自体は容易だけれど、空中で体を一定の状態に保つことが難しい。受験の時、挑戦したスペシャルアピールとはまるで高度が違う。

へなへなとマットの上に落ち、順番待ちの列の最後尾に並ぶ。すると直後、どよめきが起こった。

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