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245.あなたを信じて ページ45

 病室で荷物の整理を終えた私は

 煉獄先生の迎えを待っていた。


 鼓動が耳元で聞こえる。


「A先生?」


 聞きたかった大好きな人の声がする。


「煉獄先生…!」


 そこにいたのは、

 もう一度だけで良いから会いたいと願った

 愛する人。


「退院、おめでとう!」


「ありがとうございます。煉獄先生も。」


 彼は優しく笑う。


「行こうか。」



 彼は私の荷物を持つと、歩幅を合わせて歩き出した。



「まずは、この前君と行きたかったところに

 行ってもいいか?」


「私と行きたかったところ?」


「今日は車だからな!」



 煉獄先生は私を車にエスコートすると、

 
 ゆっくりと車を走らせ始めた。


 助手席なんて…緊張する。


 思わず運転する煉獄先生に見惚れてしまう。


 赤信号で止まった時、彼は横目で私を見て微笑んだ。


「そんなに見られると緊張するな!」


「あっ、すみません。」



 しばらく車を走らせると、目的地に着いた。


 車から降りて坂を登っていく。



 そこは街が一望できる高台。



「俺はここが好きなんだ。」



 そう言う彼は切ない顔をした。



 ねえ、先生?


 あの日、アヤメのハンカチを貸してくれた時の


 あの言葉、あの涙を信じてみてもいいかな?

 





「私もですよ。




 杏寿郎さん。」



 私の言葉に彼は眉を上げ、目を丸くして驚いた。



「A先生…?」



「ここで夜桜を見て


 秋には紅葉を


 あなたがいなくなる時も…


 でも、こうしてまた会えました。」



 涙が溢れ出す。



 杏寿郎さんは強く私を抱きしめた。



「すまなかった。


 たくさん辛い思いをさせた。」



「そんなことないです。

 私は杏寿郎さんにたくさんの愛をもらった。

 幸せをくれました。」


 身体を離すと、お互いに見つめ合う。


 炎の綺麗な瞳は涙でキラキラと光を放っていた。




「幼き頃から脳裏に焼きついた女性は、

 片時も俺の頭から離れてはくれなかった。

 …俺はもう二度と君には会えないと思っていた。

 君が同じ職場に来た時は奇跡だと思った。」


 たくさんの雫が杏寿郎さんの頬を伝う。


「でも、君は…俺を知らなかった。

 覚えていなかった…。」


 私の頬を伝う涙を彼は指で拭う。


「だが、この前君が夢の話をしてくれた時、

 俺は確信したんだ。

 やはり俺が探していたのは君だと。」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (2023年5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (2023年5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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