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156.二人きりの海 ページ6

 朝餉を終え、

 出立した私たちは海辺に来ていた。


 誰もいない広い砂浜に

 広大な海が広がっている。


 まるで世界に二人しかいないのではないかと

 そんなロマンチックなことを考えてしまうほどだ。


「…潮風が気持ちいいな。」


「そうですね。波の音も心地いいです。」


 杏寿郎さんは私の右隣を歩く。


 ちらっと杏寿郎さんを盗み見ると

 すぐさま私の視線に気づき、首を傾げる。


「どうした?」


 キリッとした目元、

 端正な顔立ち、

 しゃんとした背筋、

 厚い胸板、

 よく通る声、

 おまけに心まで綺麗な人。


「いえ…杏寿郎さんは素敵だなと思って。」


「そうだろうか?」


「そうですよ。

 こんな素敵な人をこの世に生み、育ててくださった

 槇寿郎さんと瑠火さんも素敵な人です。」


 杏寿郎さんは私の言葉に目を見開き、

 今度は眉を下げて優しく微笑む。


「君の方こそ、素敵な心をもっている。」




 私たちは立ち止まり、並んで海を見つめる。





「本当に何もなくてよろしいのですか?」


「ん?」

「その…贈り物です。」





 私は結局決められなかった自分を責めていた。


 すると、そっと手を握られる。




「いいんだ。これが欲しかったんだ。

 いつも忙しなくて、君と1日いられる日など

 そうそうないだろう?


 今日だけ、


 今日だけでも君を独り占めしたい。」



 そうなると、



 どちらかというと私が独り占めしているような…





「それから…」






 ここには私たち以外他に誰もいないのに





 杏寿郎さんは顔を耳元に近づけて




 空にも、




 海にも、



 太陽にも、


 誰にも聞こえないように囁く。









「今夜、君をいただきたい。」

 
 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 衣世さん» 苦しいですね…。書いていても辛いです泣 叫んじゃってください〜!! (2021年11月3日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 更新ありがとうございます!杏寿郎ーー!!切ない、苦しいですね(ToT)うあぁぁぁ(TдT)叫ばずにはいられません泣 (2021年11月3日 18時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - akiomiさん» はじめまして。コメント嬉しいです!ありがとうございます。溶けてしまいたいですね…笑 応援ありがとうございます!引き続きお楽しみくださいませ! (2021年11月3日 12時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
akiomi(プロフ) - 初めまして。切なくてどうしようもない気持ちになり、コメントしてしまいました!雪になって、私も溶けてしまいたい笑 続きも楽しみにしております。これからも応援しています! (2021年11月3日 11時) (レス) @page45 id: 15912deccb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - ろろろーさん» はじめまして。コメントありがとうございます!胸を締め付けるようなお話ばかりで申し訳ないです。嬉しいお言葉、ありがとうございます!更新、頑張りますね! (2021年11月3日 10時) (レス) @page45 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月23日 12時

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