君が思い出すまで4【煉獄杏寿郎】

153.直球勝負 ページ3

「欲しいもの？」


「はい！何かありますか？」


　結局、悩みに悩んだ私は直球勝負…ということで

　本人が欲しいものを贈ろうと考えていた。


「急にどうした！」

「いえ！なんとなくです！」

「そうか！」

「はい！」


　縁側で横並びに座り、二人して正面を向いたまま話す。


　庭には杏寿郎さんの鎹鴉の要が

　木にとまり、不思議そうに首を傾げている。


「う〜ん、そうだなあ…。

　少し考えても良いだろうか？」


「はい！大丈夫です。」


　こういうの緊張するなあ…。

　誕生日に贈りたいって言ってしまってもいいのだけれど

　なんとなくなあ…。

　
　一人でモヤモヤ考えていると、


　急に右肩に重さを感じた。


　ん？？

　
　なんだろうと首を右に向けると、

　
　つい先程までパッチリと起きていた杏寿郎さんが

　私の肩に寄りかかって目をつぶっている。


「杏寿郎…さん？」


　声をかけても返事がない。


　あれ？寝ちゃった？


　すやすやと寝息を立てている。


　頬にかかるふわふわの髪の毛がくすぐったい。


　疲れているのかな。



　要は縁側まで飛んできて、私のそばに寄る。


「…要、要だったら何をもらったら嬉しい？」


「団子ダナ」


「団子かあ…。」


「杏寿郎ナラ、キットナンデモ喜ブ。

　思イガコモッテイレバ ナンデモ嬉シイ。」


「ふふっ。そうだね。

　杏寿郎さんも悩んでいるようだし…

　もう少し、自分でも考えてみるよ！」



　空は茜色に染まり、もうすぐ日が暮れる。


　夜になったら杏寿郎さんは任務へと向かうから


　それまではこのままで…。


　あなたの気が休まりますように。


　

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